絢爛とか爛漫とか 公演情報 傑作を遊ぼう。rorian55?「絢爛とか爛漫とか」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    本歌取・・・?
    【総評】書斎一間に4人だけで演じる芝居だが、縁側の抜けや壁をスクリーンにFLASHアニメを投影したり影絵を用いて対話したりと楽しい仕掛けもあって、狭さや人の少なさをカバーする舞台演出になっていた。

    長台詞ではこちらの腰が浮いてしまい、決まりが悪い感じ。演出の役者への信頼が厚すぎたのではないだろうか?

    【本題】
    傑作をあそぼう という”シリーズ”のようなのだが、その傑作がなんだか全然分からなかった。こういう遊びはみんなが知っているものを自分風にいじってその違いを楽しむものだと思うのだけど、私の教養が足りず観劇中にそれを判別することが出来なかった。

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    時代は近代、大正・昭和初期。4人の青年小説家の卵たちが1人の家に集まりドタバタを繰り広げるストーリーで、それぞれが銅鑼息子というかボンボンでなんとなく小説家をしながらモラトリアムしてる。
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    私は、こういう話がきっとヨーロッパ文学の方にあるのだろうと思った。演劇人なら、養成所や演劇部とかで一度はやってきたような、そういう有名なもの、かなと。元ネタはパリを舞台に芸術を志す貴族のボンクラ息子たちを描いたもので、本作はそれを大正時代の日本の文学青年に置き換えたのかもしれないなどと想像していた。

    しかし、聞けばそれは見当違いで、自転車キンクリートの作品が元なのだという。自転車キンクリートは観たことがないが、確か、90年代に元気なイメージがあった小劇場系の劇団だったかと。
    ・・・・えーーー?

    話の運びは、春夏秋冬を切り取って描いていた。そういうものは井上ひさしをどうしても思い浮かべてしまうのだけど、あれほどの時間の重みはなかった。役者に変化がなさ過ぎるのかな? 主役だけがやけに成長をひけらかしていたように思う。あとは情況が変化しただけ。青年にとっての一年がジェットコースターのように早いことを思わせて欲しかった。

    それから、文脈を読み込もうとしたら大変残念な点に気付いた。4人は皆いいとこのボンボンなのに、全然それが感じられない。これは痛い。私の見聞きするリアルボンボンはそういう"もの"がある。
    もっと、生活に苦労しないボンボンたちの憂いとか不満とか悩みを表現して欲しい。本作は、タダの、1人の小説家男子の成長物語で終わってしまった。4人もいたのにもったいない。言葉だけで表現しないで、そういう風情を演じて魅せて欲しかった。もしかしたら、原作で描こうとしたテーマが薄くなっているんじゃないかな? それも現代風に、モダンに。

    さて、もっと本作を読み込もうとすると、実は、この4人もモデルがいるんじゃないかと考える。文学をネタにするなら、そういう遊びも意識して当然。しかし、私は太宰くらいしか分からなかった。私は本当に話にならないくらい日本文学の素養がないのです。きっとそれが分かったら違う楽しみ方も出来たのかな、と惜しく思う。

    ネタバレBOX

    朗読・・・・・

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    2010/08/21 06:07

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