ガラパゴス 公演情報 少年王者舘「ガラパゴス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    ウギャー! なんだコレ! 面白いぞ!
    フライヤーの雰囲気からアングラ&アングラしている舞台を想像していたが、どうやらそうでもなかった。
    じゃ何だったのか? と問われれば、「ウギャー! 少年王者舘だ!」とだけ答えておこう。
    「ウギャー!」と思わず叫ぶほどの、激しい驚きがそこにあるわけではないのだが、ニヤつきながらの、心の中での喝采と思ってほしい。
    この楽しい舞台は、わずか90分!

    ネタバレBOX

    スタートの前説から、一発かましてくれる。ここで、「オオッ」と思ったわけで、このスタートは、メビウスの輪のごとくラストにつながっていく。
    終わりはない、それは始まっていないから、というラスト。

    どこだか不明のセットもいい。使い方を含めて。

    舞台の上では、どこなのか、誰なのかが不明のまま、しかも、「舞台である」ということをもひっくるめて、すべてが混沌として混じり合い物語は進んでいく。
    進んでいくのかどうかということも、実は定かでない。

    照明や音楽の切り替えが面白い。と言っても、それできちんと一見区分されている表裏(や前後や虚実)の内容が、そこに安定しているわけでないことは、後々わかってくるのだ。

    それは、ゆるいインパクトを与えてくれる。
    観る者は、糸口を探しだそうとする。
    しかし、幾重にも張り巡らされた言葉の糸は、観る者をあらゆる方向へといざなう。ちょっとした悪夢のようでもあり、目まぐるしく、観ている者を強く引き込む。

    細かいつながりと、それを手繰る観客の意識を断ち切るような演出も本当に素晴らしい。

    時代や場所も人も記憶も未来も過去も、その人の存在も、まったく明確ではなく、ゆらゆらとしている。

    しかし、ぼんやりとしているわけではなく、何もかもをカットバック、あるいはクロスカッティングして怒濤のような台詞とともに物語が溢れ出す。
    溝が傷ついたレコードのように、けたたましく繰り返されるエピソードに、「中略」の文字での、おふざけの塩梅やセンスは素敵だ。

    そこには言葉だけが、言葉遊びというよりは、さらに過剰な様相で、次々と現れては、台詞や物語の中に埋もれていく。そして、積み重なる。
    台詞だけでなく、プロジェクターを通して舞台に現れる文字遊びも愉快だ。必要以上に「死」を意識させすぎて、それはギャグにまで到達する。

    「ハウステンボス」「ナガサキ」という街の持つ地場のようなものが、「戦争」の歴史を引っ張り出すが、そこにだけ、何かを込めているわけではない。
    つかんだ情報は、つかんだそばから崩れ落ちる。

    女優度が高く、ここは女系の劇団ではないかと思いつつも、男性陣の「立つ・座る」だけというエピソードには、笑った。気が変になりそうなほどの繰り返しが凄すぎる。

    ほぼ主演だった、ひとみ役の黒宮万理さんと昭和40年代のイチロウ役(キャスト名不明)が好演。
    ひとりを演じた夕沈さんと、青いベストで壁や障子を食べた方、イチロウの母役の方(いずれもキャスト名不明)の3人の、キレの良さが印象に残る。

    エンディングでの、恐ろしいほどの連続。連綿と続くDNAの螺旋を彷彿とさせ、それに続くダンスも、これでもかというほど、しつこい。演じる者のカタルシスがそこにある。
    いつまでも終わらない、過去から未来への、人類の愉快で悲しいダンスが続く。
    終わらせる方法を忘れてしまったのかと思うほど。
    この終わらせ方(台詞)は少々紋切り型ではあったが、着地点があり観客席で一安心した。

    次回も是非観たいと思うのだが、残念なことに名古屋の劇団なのだ。
    また東京公演を行ってほしいと願うのだった。

    2

    2010/08/20 07:28

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  • genieさん

    はじめまして。
    コメントありがとうございます。

    私もチラシがとっても気になってました。
    アングラかどうかは、受け取り方でしょうけど、ドロドロの、ではないと思います。
    私は、とっても気に入りました。

    >居ても立っても居られない感じ、さっそくチケット予約しました。

    うぁっ。
    ほかの方たちと感じ方が違うことがあることは、私のほかの劇団への「観てきた」でご確認の上かとは思いますが、お気に召していただけることを祈ります(笑)。

    2010/08/21 07:52

    アキラ様、

    はじめまして!
    私も前からこのチラシが気になっていまして、
    でもドロドロアングラだったら、重いなぁと敬遠していました。

    こちらまでわくわくするような、アキラ様のコメント拝読して、
    居ても立っても居られない感じ、さっそくチケット予約しました。
    どんな展開が待っているのか、楽しみです。
    よいきっかけをいただきました、ありがとうございました!

    2010/08/20 23:52

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