魔法はひとつじゃありません!〜マジックアワーを探して〜 公演情報 劇団25、6時間「魔法はひとつじゃありません!〜マジックアワーを探して〜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    夢と現実の狭間で苦悩する女性の青春奮闘記。
    表層的にはポップな描き方で、その内容は 多くの人が共感するもの。キーワードは「魔法」と「マジックアワー」、その抽象的で曖昧模糊とした感じ---不安 心情が物語の肝。

    上演前から 上手にある窓でお出迎えしてくれるモノが重要なキーになっている。卑小だが、少し気になることも…。
    (上演時間1時間40分 途中休憩なし) 【Aチーム】

    ネタバレBOX

    舞台美術は 後景に白地の幕、所々に色彩インクの汚れ。上手に本棚、「星の王子さま」「ぐりとぐら」などの本が並ぶ。下手は 箱馬に支えられた衝立状ドア。シンプルな作りであるが、全体的に明るく ファンタジーといった雰囲気を漂わせている。オープニングダンスも良かった。
    上手の側壁に小さい装飾窓があり、カエルのパペットがお出迎え。このパペット、劇中ではカエルとウシが登場し、重要な役割を果たす。ただパペットの動きが 窓枠の内側のようであり、後列の客が窓中を観ることが出来たのか気になる。

    物語は、絵本作家になりたい 佐藤まほ19歳、あと10日で20歳になる。出版社に原稿を持ち込むがなかなか採用(出版)されない。もう1人、画家になりたい 空野夢子24歳、こちらも25歳迄 あとわずか。この2人の夢追いだが、なかなか夢が叶いそうもない。夢子が悲嘆し自殺しようとしたところを まほ が助け、夫々の状況と心情を話し合う。偶然にも2人は同じアパートの上・下階の住人。まほ の部屋にはカエル、夢子の部屋にはウシが居る。カエルとウシは2人が描いた絵から飛び出し実在化…というファンタジー。2人の夢が叶えば絵の中へ逆戻りという悲哀を抱えている。
    ちなみに、昔 漫画「ど根性ガエル」で、主人公のシャツにカエルが張り付いたが、本作はその逆のようで、洒落っ気ある発想だ。

    2人はそれぞれ20歳、25歳迄に夢が叶わなければ諦める、という約束を交わす。この期限は重荷になり自由な発想の足枷になる。夢か現実(生活)か という選択に、これが大人になることなの。その悩める心情を周りの人々を絡め描く。夢を諦めることは、現実に向き合うこと?何かの理由 もしくは誰かのせいにして夢を諦める言い訳がほしい。既に亡くなった夢子の母の言葉…自分(夢子)が選んだ道を信じている、が心に響く。そして 人生も作品も経験・体験を積むことが大切、実に含蓄ある言葉。
    また「魔法はひとつじゃありません」は、まほが描く絵本の魔法アイテムのことだが、「生き方はひとつじゃありません」という 比喩にもなっているのか。

    舞台技術は、優しいピアノの音色、照明の諧調が情景と心情を効果的に表している。また 後景が白い幕(まほ の衣裳も白地に汚れ)であることから、マジックアワーを映し出したら 一層の余韻付けが出来たかも。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2024/06/07 00:14

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