見上げたらメンチカツ 公演情報 艶∞ポリス「見上げたらメンチカツ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    さて、今日私はどこで演劇観たでしょう?
    もうこの質問から始まる時は、だいたい艶∞ポリスでございます!

    昨年から始まった艶∞ポリスのこの新シリーズ。演劇の敷居を下げ、もっと身近なものにするべく暮らしに紐づく様々な場所で新作の演劇を上演しています。
    1回目『生意気なからあげ』は目黒川沿いのおしゃれなカフェで、前回の美容室で上演された『角刈りのカリスマ』は、初回のカフェ公演を観た美容室の方から繋がった企画でした。
    そして第三回目となる今回はなんと"居酒屋"で観る演劇、『見上げたらメンチカツ』。
    前回の美容室同様に学芸大学の街と文字通り杯を交わすような企画で超楽しかった!
    演劇はまだまだ街や暮らしと手を繋げる。

    劇中に「私はこの店じゃなくて業界全体のことを考えてるんです」みたいなセリフがあった。キャラや文脈から笑える一言としてしっかり機能しているそのセリフになんだか私はグッときてしまった。それはそのまま演劇の敷居を下げ、劇場となりうる場所を拡張していく劇作家・岸本さんの姿に重なった。

    上演場所や上演時間(1h)などの趣からイベント的に見えるかもですが、毎回しっかり岸本鮎佳ワールド満載の劇世界が広がります。人々の悲哀と可笑しみがぱちぱち点滅する艶∞ポリス喜劇をベースに、実際にそこで働いている方を巻き込んだ物語はまさにその場で上演する"ならでは"な意義がある。
    今回も実際にこの居酒屋で働いている方も出演されていて、理屈では太刀打ちできない、彼の日々や生業に裏打ちされた圧倒的な存在感と説得力にグッときました。異業種とのタッグと接続によって「営み」というものについて様々を想像させられるし、演劇を通じて唐揚げやメンチカツなど商品PRを成立させてるのも面白い!

    岸本さんの仕掛けや試みからはいつも演劇が決してコアな世界で収まらない、という可能性を教わるような気持ちです。演劇が詳しい人だけのものじゃないということ、もっと手の届きやすい場所や価格でさりげなく街に存在したらいいのだということ。内々には収まらない、常に外に向かっていく演劇。それは外に持ち出す人がいなければ当然始まらない。私は岸本さんの試みに共鳴するいちライターであり、艶∞ポリスの新たな演劇を待望するいち生活者でもあると改めて痛感。

    しっかりレモンサワーとメンチカツ、なんなら梅水晶と焼きそばも食べたくなった(し食べた)最高の協働演劇!ずっと追いかけたい!
    演劇って気軽には誘いにくい節があるけれど、艶∞ポリスのこの企画なら演劇観たことあってもなくてもいい、家族や友人と楽しく観られる。可能性が詰まった名企画です。場所のひらかれ方、演劇を初めて観る人への工夫、体験としての演劇の追求。観客の方の反応を見ていても「満足度の高さ」がひしひしと伝わる観劇でした!

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    2024/05/29 11:31

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