実演鑑賞
満足度★★★★★
当日券ダッシュで中野成樹+フランケンズ 『#ちがう形』のAプログラムのみ観劇(大池容子さん作『かがやく都市』と『EP2(犬の話)』(シェイクスピア『ハムレット』2幕より)。
始まる前からわくわくが立ち込める客席で図らずも20周年初日目撃の喜び。面白かったし、何よりかっこよかった〜!痺れました。「『ハムレット』を20年かけて上演する」という常軌を逸した果てなき企画もこの方々ならやってのけてしまいそうだし、何より、「全部観たい」と思わせてしまうところが魅力で、20年の賜物という感じもする。これからの20年も楽しみです。『かがやく都市』も面白かった。うさぎストライプの上演を風邪ひいて見逃してしまっていたこともあり、物語との邂逅にも胸熱く。キュートで可笑しく、それでいて登場人物たちの心情は味わい深く。煙の気配をそこまで強く感じなかったのは、もはやすでに煙の中にいたからなのかも、などと想像したり、まんまとふしぎな物語の術中にハマっていました。歌唱シーンのタイミングと選曲がまたよすぎて。もちろん帰り道速攻聴きましたよね...楽しかったし、かっこよかったです。
あと、これは声を大にして感謝をお伝えしたいのですが、上演ステートメントに「子ども向けではないけど入場OK」の旨が添えられていたこと、自分の様な子育て中の観客の存在が決して忘れられていないと思える一言で、救われる気持ちでした。映画と違って演劇は具体的な対象年齢の設定や記載はほとんどありません。未就学NGの記載やチケット種類(に未成年があるか)や作風、また最近はトリガーアラートなどから何となく子と観られるか否かを"察して"観に行くのですが、ナカフラさんの様にカンパニーサイドから内容や作風と入場是非が併せて明記されている公演はまだ少ないので、とてもうれしかったんです(私個人としてはこの文言で作者の創作意向を知ることができた事も有り難かった!)
子どもを対象にした演劇でなくても、子は大人の想像を越えた実感を得たりする。
それはあくまで経験則としてコラムなどにも書いているのですが、一方で「作り手は子ども向けとして作っていない」という情報も私はとても大事だと思っていて、そうした上で「入場はOK」ということがなんかもう言葉がうまく見つからないけど、とても嬉しかったんですよ。
"子を連れてくる親"としてだけでなく、"この作品を観たい一観客"として尊重されている気持ちになったというか。
「子どもを劇場に連れて行きたい」という気持ちの面だけでなく、時には連れて行かざるを得ない状況がある私のような人間にとっては色々悩ましいところがあるのですが、こういった新しい開き方をして下さっていること、本当に心強いです。「演劇や劇場にできたらこうあって欲しい」そう願っていることの一つが叶えられた公演でした。ゆえに満足度は抜群です!