マクベス 公演情報 演劇ユニット King's Men (キングスメン)「マクベス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    マクベス役と夫人役の両名によるユニット(演出も両名)の舞台。男女コンビが本作を最初に選んだ事には納得であるが、そうすると次はオセロだろうか。
    多場面に亘るシェイクスピア作品で抽象舞台は常套と言えるだろうが、平面床のみの素舞台は挑戦と言える。しかもカーペット一枚用いず茶色の地肌の見える床を歩くと足音もそのように響く。照明もダイナミックな変化はない。そこに共同演出の二人が試みた幾つかの特徴的な趣向の一つが、ホリゾント全体に花や風景、抽象的な絵柄を映写する(写真を加工した静かな動きのある映像との記憶・・そのため照明が落ちても明るい)。また現代的衣装を役柄に(具象というよりは象徴的連想を助ける意味で)寄せた衣裳、脇役に当てられた俳優の不思議な?用い方、そしてマイクを持って歌う場面の挿入などがある。これらが成功していたか否かは評価が分かれそうだが、大きな破綻はなくラストまで進行する。
    違和感、とまでは行かないが、主役二人のユニットとは言えかなり目立つ。舞台上での身体的な親密度(取る距離も含め)と言い、両名の台詞量とスピード、場面の掻い摘み方、正解かはとも角、それらの中に彼らなりの場面解釈が窺える。ただ、やはり基調となる進行速度は、感情の真実味を観客が確かめる余地を与えず進む事には、付いて行こうとはするものの「おいて行かれ」感はある。上演時間は二時間に収めている。
    そうした展開の最後に、実はアッと驚かせる原作にない場面の追加がある。それが不思議と違和感のない、あり得る形として飲み込め、感動的でさえあった。
    ただ、そうであっただけに、そこまでの展開における人物の心情表現のリアルが、もっと見えたかったのは正直な感想だ。

    1

    2024/05/20 03:39

    1

    0

  • tottory様、ご観劇およびクチコミありがとうございました。
    素舞台・音響効果なし・照明変化なし、また台詞回しとそのスピード、これらは劇団シェイクスピアシアターの形式に準ずるもので、私達もそれを特異なこととは感じていなかったのですが、お客様の中にはこの形を不思議と思い、進行速度を速いと感じる方がいらっしゃると知り、とても参考になりました。
    シェイクスピアに慣れた人と、あまり慣れていない人とでは、やはり腑に落ちるまでの感覚が違うものなのだと思います。
    役者の方でも、今回シェイクスピア作品は初めてという出演者が多く、やはり台詞を発する側も、聞く側も、難解と感じる場合があるのだということを知ることができました。感想を教えていただいて、ありがとうございます。

    そして、ラストシーンに感動したと言っていただいて、ありがとうございます!最後のあの場面をこそ伝えたいと願って上演したので、とても嬉しく思います。
    人は人生を踏み外すことがありますが、それでも赦しは得られるべきだと思いますし、個々の人間のそのような微かな善良さのみが、この世界の争いと悲惨を終わらせる唯一の希望だと、私は思うのです。

    今後ともキングスメンの公演をぜひご覧いただけましたら幸いです。
    シェイクスピアだけでなく様々な作品を上演してまいります。
    どうぞよろしくお願いいたします。

    2024/06/01 01:30

このページのQRコードです。

拡大