マクベス 公演情報 演劇ユニット King's Men (キングスメン)「マクベス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    シェイクスピアの四大悲劇の一つとして有名なマクベス。それを「みずみずしく大胆な舞台意欲で、全く新しいシェイクスピアの世界を創出」という謳い文句で、「マクベスを、悪の化身としてではなく、人間の本質的な心の闇、善良であるがゆえの弱さを持つ、両義的な存在として描き出す」と力説。当日パンフは、手作りの<チラシ+15頁>という 力の入れようだ。

    魔女の予言を信じ、ダンカン王を暗殺して王位を奪ったマクベス。そして王位を守るため次々と殺人を重ね、暴君として滅んでいく という内容。当日パンフに、平澤智之氏と絵里さんの対談が記されているが、その中で作品のテーマを<人間の心の問題>としているようだ。心の闇=世の破綻、しかし心の善良=救いといったことで負の連鎖を終えたいと。それをラストシーンに凝縮させたとある。
    因みに、この公演の魔女は 民衆に見立て無責任なことを言う。そんな愚衆(現代では真偽分からぬネット情報か?)に踊らされた人間の愚かさをマクベスにみる。

    シェイクスピアの他の作品でも、人間が矛盾を抱えていることを表していたと思う。勿論 「マクベス」でも魔女たちが「きれいは汚い、汚いはきれい」といった台詞があったと思うが…。論理矛盾があったとしても、それはそれとして成立する。人間の多面性、真実や正義は一つではない世界観、そんなことを物語っている。その意味では、この公演(テーマ)は自分が観てきた「マクベス」と大差(新機軸)はなかった。

    人間の矛盾した感情、一方 物事の真価を見る目は重要。目先の利益等といった外見に惑わされ、本当に大切なことは何かを改めて考える ということが昨今の課題ではないだろうか。例えば コロナ禍においての不自由、不平等、不寛容といったことが挙げられ、時代を超えてシェイクスピアの作品は訴えかけてくるようだ。そこに色褪せない現代性があり、面白さがあるのだと思う。
    (上演時間2時間 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    素舞台。役者がアクションをするスペース(客席 通路も使用)を確保する必要があったと思うが、他に「プロジェクタを使用した芸術写真の作品の投影」を効果的に見せるためであろうか。「甘美で、暴力的で、詩的な空間が客席と舞台を一体化」とあったが、花畑や抽象的・幾何学的な模様で、あまりピン とこなかった。

    1人の男優が、他のキャストをバックダンサーに従え歌う。また手話シーン等、色々なことが盛りだくさんだが、何を表現したかったのだろう?

    また衣装は西洋・時代といったものではなく カジュアル。小道具(武器)は、西洋・剣、日本・刀といった何でもあり。全体的に統一感がなく、というか敢えて外観(外見)に惑わされずに、物語の本質を観せようとしたのか。そしてマクベスが少しづつ上着を脱ぎ といった過程は、だんだんと人心が離れていく象徴か。最後は裸の王様ならぬ半裸姿(筋肉美だ)が痛々しい。

    演出・主演は、劇団シェイクスピアシアター出身のシェイクスピア俳優・平澤智之氏と、高村絵里さん。この二人の演技は熱演と思うが、俳優陣に演技力の差があるようで ぎこちなさ が気になった。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2024/05/16 00:08

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