満足度★★★★★
感動的な最終公演でした
独歩プロデュースは麦人、てらだかずえのご夫婦2人だけの演劇企画・制作事務所で7年間続けられ、今回が最後のプロデュース公演だそうです。井上ひさし氏の「父と暮らせば」は、麦人氏が惚れ抜いた作品でありながら、こまつ座初演のトラウマから長く手をつけられずにいたという。ようやく最終公演として企画を決めた後、井上氏の訃報が届いたとのこと。
原作が素晴らしいことは言うまでもないが、本公演のすべてが素晴らしく、大変感動した。会場スタッフの皆さんの心からの笑顔と誠実な応対も忘れられない。そして、あえて終演後に手渡されたパンフレット。出演者、スタッフたちのこの作品への思いがしたためられているが、どの文章にも胸を打たれた。特に、麦人氏と共に演出を担当された伊藤勝昭氏の文章には涙を禁じえなかった。伊藤氏はこの芝居のヒロインと同じような辛い体験をされている。65年たっても死者の叫びはいつまでも心の奥底に残っているのだということ。