『法螺貝吹いたら川を渡れ』東京公演 公演情報 渡辺源四郎商店「『法螺貝吹いたら川を渡れ』東京公演」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    田町駅での安全確認で突然電車が線路でストップ。やっと動いて降りられたが、乗り換えの電車が全く来ない。運良く何とかギリギリ間に合った。
    ここ最近、凄え作品ばっか観ている感じ、何か申し訳ない。金を払えば良いものが観れる訳でもないのに。
    舞台前に立っているインディー・レスラーみたいなゴツイ人が作・演出の畑澤聖悟氏だった。(絆會・織田絆誠っぽくもある)。

    主演の三上陽永氏がハマり役。
    ヒロインの木村慧さんは福原愛に似た美人。
    山上由美子さんも重要なパーツを担う。
    アイヌ娘の三津谷友香さん。
    工藤良平氏は石破茂似。
    音喜多咲子さんは子供役で見事。
    ドラムの白石恭也氏は猿岩石の森脇っぽい。硬質な音が効いている。
    ギターの高坂明生氏、パール・ジャムの曲のフレーズを入れたり、なかなかやるな。

    16世紀安土桃山時代、南部氏が治めていた現在の青森県と岩手県の北部。1571年、家臣の津軽氏が謀反を起こし、強引に独立を果たした。(現在の青森県西部)。
    江戸時代になり南部藩、津軽藩となっても諍いは続く。1714年、藩境を巡っての烏帽子岳での紛争は幕府の調停が入るものの遺恨を残した。(『檜山騒動』)。
    1821年、津軽藩主を暗殺しようと大名行列襲撃を企んだ南部藩の相馬大作が死刑になっている。(『相馬大作事件』)。

    時代は明治元年、新政府軍と旧幕府軍の戦闘は北へ向かう。
    川を挟んで何百年も憎しみ合う津軽と南部。だがこの村の者達は皆マタギ(東北地方の山間に暮らす狩人)。山の神を信仰し、熊(いたず)を化身と考える。何とか殺し合わずに済む方法を模索する。

    客席でガチガチに入り込んでいる女性がいて、相槌を打ったり悲鳴を上げたり、心配になる程、物語にのめり込んでいた。これはそんな凄え舞台だってこと。
    MVPは木村慧さん。ラスト・シーンは詩だ。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    明治元年となった1868年、戊辰戦争(新政府軍と幕府軍による内戦)ではどちらも幕府軍として戦ったが、津軽藩が新政府軍に寝返る。その後、南部藩も降伏。津軽藩は官軍としての実績を作る為にどさくさに紛れて南部藩の領地・野辺地馬門村に侵攻、放火。局地戦となる。(『野辺地(のへじ)戦争』)。

    分かっていてもラストのエピローグが完璧。吹雪く雪山、熊と人としての再会。最後の台詞。完璧だ。(台詞の意味は全く解らないが、それでも構わない)。

    三好十郎の『斬られの仙太』や桟敷童子の『空ヲ喰ラウ』、岡本喜八の『赤毛』なんかもイメージした。筒井康隆の『旅のラゴス』のラストも。
    ほぼ実話ベースなのが衝撃的。

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    2024/05/04 14:42

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