実演鑑賞
満足度★★★
「心のよすがを取り戻す作業」
1992年に246TANK+花光潤子が初演した本作は、日本国内はもとより世界各国で上演され続けている。今回はかつて旧日本陸軍戸山学校のあった戸山公園での上演が実現した
日差しはもとより風も強い、鳩が舞い降りては飛び立っていく、そんな日和の公園に突如目に入ったのは円形の木枠とむき出しの柱に白布がかけられた特設舞台である。近くに寄るとサッカーボールや植木鉢などの日用品、ブロックなどの廃材が散乱している。ここは家の解体を終えた更地という設定である。上演が始まるとそこに向かって全身白ずくめの男(御厨亮)と女(永井茉梨奈)が階段を下りやってくる。無表情で足音を立てないその佇まいはさながら幽霊のようだ。