「時苦想パズル」 公演情報 劇団テアトル・エコー「「時苦想パズル」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    安定感ある舞台で、安心して楽しめる
    テアトル・エコー創作戯曲の入選佳作作品の上演ということで、なるほど、という脚本だったと思う。
    若手を中心に据え、ベテラン勢がきちんと脇を固め、老舗劇団らしい安定感とともに楽しめた。それは、手堅い、とも言う。
    笑いも随所にある、ある意味ちょっとビターなテイストもありの、コメディ約95分。

    ネタバレBOX

    証券マンの勇治がマンションに帰宅すると、妻と3歳になる娘の姿が見えない。不思議に思っていると、シャワーを浴びていた美樹が現れる。
    互いに見知らぬ相手に驚き、この部屋は自分の部屋だと主張する。
    会話の中で、両者とも28歳ということがわかる。
    そこへ美樹の両親が戻って来る。
    美樹の母親は、勇治の顔を見て驚く。それは、25年前に失踪した夫にうり二つだったからだ。
    そして・・・。

    そういう導入部から始まるストーリー。

    約95分の上演時間だが、登場人物の名前や、勇治の設定など、ディティールがきちんとしているし、細かい部分まで気が利いている、よく練られている脚本だと思った。
    やや、会話が2人だけになりがちではあるが。
    会話の中から、いろいろな状況や過去の出来事などが浮かび上がるというのもうまい。
    勇治の両親が夢で現れるときの、人形を使うあたりがちょっとシュールで面白いし、不気味さがあったりする。
    熊倉一雄さんの演出も手堅く、とてもわかりやすい。

    熊倉さんをはじめとする、脇を固めるベテラン勢の安定感が頼もしい。
    全般にいい感じで笑えた。無理のないコメディ。
    その中に、夫婦の愛情が浮かび上がってくるというのが、にくい構成だ。

    結末は、もっと何かを期待したのだが、そこまでではなかった。ラストは物語の結末というよりは、オチ的な感じだった。
    夫婦の話が浮かび上がってきたので、観客としては(私としては)もっと感動的な展開を期待してしまったのだ。

    この脚本の作者は、当パンによると、「芝居をあきらめ家業の青果店に戻った作者が、リンゴ箱を机にコツコツと書き上げた」作品らしい。なんか泣かせる。リンゴ箱のくだりは創作にしても(笑)。

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    2010/07/31 07:53

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