華麗なる招待 公演情報 toi「華麗なる招待」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    乾杯を重ねただけなのに・・・
    場内の美術(?)や、時間の重ね方、
    普遍を感じさせる生と死の法則性・・・。

    それが家の歴史にまで昇華していく感覚、
    時代に翻弄されていく姿、
    そして家の終焉に
    深く柔らかなペーソスを感じて。

    もう片方のバージョンも観たかったのですが
    すでにソールドアウト。
    当日券はなし。理由は良く分かるのでなおさら悔しい。

    この作品、再演を熱望いたします。

    ネタバレBOX

    会場にはいってびっくり。
    そこには大きな邸宅の食堂が現出していて。
    大きなテーブルに席が指定されていて、
    当日パンフレットの出し方もお洒落。

    全員が席につくと、
    その家に嫁いだばかりの女性が現れ
    出演者と観客がテーブルを囲む体で
    クリスマスディナーが始まります。

    グラスを重ねる音が響き
    ディナーの雰囲気に浸っているうちに、
    観る側がふっと揺らぐような感覚がやってきて
    時間の流れの車止めが外されたことに気がつく。
    そこから、流れるように
    ディナーの乾杯が繰り返され、
    そのたびに人は齢を重ねていきます。

    入口から表れ出口に消えていく人の一生。
    訪れる生と死。
    誕生は高揚とともに祝福され、
    死は静かな出口への歩みとしてやってくる。
    生まれすぐ、看護婦に抱かれたまま
    通り過ぎるように召される子供の姿に
    心が痛む。

    成長、結婚、老い・・・。
    世代がかわり、子供はやがて主人の席に移り、
    あるいは自らの道を歩み始めて・・・。
    グラスの音とともに訪れる変化に
    観る側までがなすすべもなく流されていきます。
    繁栄の時代、不況、戦争・・・。
    さらにはアメリカの歴史が織り込まれ、
    ジェネレーションギャップと確執が生まれ
    気がつけば冒頭の乾杯は遠い過去におかれて・・・。

    人であふれていたその家は、
    再び訪れるクリスマスの喜びと、
    きっとその間を埋める
    日々の暮らしに満ちながら
    やがて古ぼけて、朽ちていく。

    ラストのシーンで、
    一人残される遠い血筋の老婆の姿に
    人や家が過ごした時間の尺と
    その質感の軽重が鮮やかに浮かび上がり
    戯曲の企てとそれを表す作り手の秀逸に
    息を呑みました。

    この作品、2バージョンでの上演にたいして、
    片方しか予約しておらず、
    当日券もなしで
    他バージョンは観ることができず。
    久しぶりにとても悔しい思いをしました。

    たとえば、クリスマスのころに、
    是非に再演をしていただければと・・・・。
    毎年、継続して上演いただくのもよいかもしれません。
    年をまたいで上演し続ける価値が
    十分にある作品だとおもうのです。



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    2010/07/30 06:49

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