実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/02/13 (火) 19:00
反ファシズムのドイツ人作家ゲオルク・カイザーがナチスに弾圧され、スイスに亡命中の1940年に書いた戯曲だという。ナチスに弾圧されてスイスに亡命中だったということは、ナチス・ドイツと同盟を結んでいた日本に対しても好意的な感情を持っていた訳がない。
それは「戦場にかける橋」の原作者でもあるフランス人作家ピエール・ブールが日本軍の捕虜となり、その時の経験を基に「戦場にかける橋」を書いたのみならず、日本に占領された国を念頭において「猿の惑星」を書いた(当然ながら猿=日本人である)のを考えれば瞭然のことだ。
この「兵卒タナカ」も鋭く冷徹な眼でというよりも辛辣に皮肉たっぷりに描かれているといっていいだろう。搾取する側(天皇・国家)と搾取される側(国民)という図式も、当時のアジアにおいては白色人種が有色人種を搾取する側だったことを考えれば、ブーメランとして滑稽でさえある。
【以下、ネタバレBOXで…】