真夏の迷光とサイコ 公演情報 モダンスイマーズ「真夏の迷光とサイコ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    円形舞台を生かした作品だが難解。
    「凡骨タウン」とは正反対の世界だけれど、やはりいまの環境から抜け出せない人を描いている。
    ガラス張りの豪邸という舞台設定。円形舞台に合っていると思った。「人から見られる家」をテーマに、ドーム屋根のアトリウムとガラスの外壁を持つ家を建てたある建築家を思い浮べた。きっと、この家もそういうデザインなのだろうな、と。蓬莱さんはもともと舞台美術をやっていて、この劇場で舞台美術も手がけた経験もあるそうだから、今回も円形舞台を生かす独自の演出プランを練ったことだろう。
    モダンスイマーズの作品は自分にとっては難解だ。ほかの人と意見交換してみると、自分はいつもまちがった解釈をしているらしいことに気づき、赤面する。
    「深読みするといっそうわからなくなるみたいですよ」と出演者に言われた。そうですか。この日の観劇中に起きた偏頭痛が治らず、熱まで出てしまった。やっぱり難しい。

    ネタバレBOX

    車椅子の未亡人(YOU)のもと、執事(古川悦史)、料理人ピエール(西條義将)、ドクタージョー(岡野真那美)、コウジロウ(古山憲太郎)、日常のできごとについて伝えるミミ(松山愛佳)、ドラマー(山田貴之)がそれぞれの役割を演じて生活が成り立っている。
    姉(YOU)は交通事故により、夫と両親を失い、小説を書く弟(小椋毅)と2人生き残った。弟はミタグループの御曹司と言いながら苗字が灰谷だったり、雨の中、リン(松山愛佳)とシモムラフミエ(岡野真那美)、2人の女性と同じ場面が再現されたりで、観ていて頭が混乱し、よく意味がわからない。
    弟が作家で、ミタグループの姉弟というと、三田和代と三田誠広を連想してしまうが(笑)。
    俳優では執事の古川、ピエールの西條、コウジロウの古山が印象に残った。コウジロウが車椅子を暴走させ、執事が必死に追いかけるシーンは、円形舞台を生かし、スピード感や緊迫感が出た。
    車椅子は、体が不自由な人、健常者にかかわらず、乗ってみると慣れるまでけっこう体に負担がかかるもの。車椅子でグルグル回されたり、車椅子から降りて長時間身じろぎもせずに立つなど、YOUはけっこう身体的にキツかったのではと察する。生活感のなさ、姿勢のよさ、抑揚のないしゃべりかたなど、YOUの個性を生かした役柄。
    円の軌道をはずれることなく、惑星のように位置が決められてしまう人々。結局、最後は元の役割に収まって生きていくところで終わる。当人にとっては居心地がよいのかもしれないが、何の進展もないことに絶望感を覚えた。
    「凡骨タウン」の主人公に比べ、この女主人公は必死に抜け出そうともがくこともせず、ひたすら過去の幻影の中に自らを閉じ込めて生きているようにみえる。弟も覇気が感じられない。
    こういう難解で暗いストーリーの作品が多いのに、この劇団は若い女性ファンに人気がある。不思議な魅力があるんでしょうね。

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    2010/07/21 21:33

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