実演鑑賞
満足度★★★★★
あらゆる方向性で面白く、大好きな作品です。
ストーリーの面白さはもちろんありつつも、身体や構成のうつくしさを美術品を見るような気持ちで見てもいいし、謎解きのように登場人物と謎に挑む気持ちになってもいいし、スポーツやアスリートを見るように躍動を楽しんでもいい、音楽LIVEのように音と身体に心を揺らせてもいい、あらゆる人に開かれた楽しみがある作品だと改めて思います。
四面舞台というのを演出的面白さだけではなく、ストーリー上まで意味を持たせる空間の使い方、1回で見た時のインパクトと、複数観た時の面白さを両方担保されてもいて、洗練されているなと感じます。
前回までのSQUARE AREAが好きで、キャスト替えやアンサンブル追加でどうなってしまうんだろう…と、楽しみはもちろんのこと、ちょっとドキドキもしていたのですが、完全に杞憂でした。めちゃくちゃよかったです。
再演に伴う追加変更要素において、抽象的な部分を「説明する」ではなく、「整理」することで想像を膨らましやすくしよう、というように感じられて、とてもいいなと感じました。
その追加変更により各キャラクターの置かれている状況・人物像の厚みが観ている時から感じられ、キャストが一新されてもぐぐっと愛着を持てたように個人的に思います。2023年度版のキャラクターたちも、キャラクター〇〇の誰版、というより、2023年度版のそのキャラとしてとても好きになりました。
パフォーマンスシークエンスも、増えたりアンサンブル要素が追加されることで複雑性が以前とは変わっていたりしていましたが、ただ豪華になっているというよりも、ストーリーやキャラクターの色付けを豊かにする味付けになっており、知ってるはずなのに知らないスクエリを観ていて、でも欲しいところに欲しい画が観れる…!という、楽しみ方ができました。贅沢な再演体験でした。
今回の公演のことではありませんが、唯一悔やむべくは、劇団員の半田さんが今年末をもって役者業を引退されるため、先達のスクエリのような「同じキャストで再演」が叶わないところだなあと思います。役者固定で、各人のスキルアップと演出の変更、ホンの改訂に純粋に意識を割ける再演というのは本当に稀で、前は叶っていたことなので惜しいな…と。(半田さんの決定や今後は応援してます!)
ただ、壱劇屋(大熊作品)は、キャラクター性もあるものの、どちらかというと「物語上の/進行上の役割」に重点が置かれていると個人的には感じているので、キャスト変更があったときも比較的ひっかかりなく、どちらかというと楽しみに受けとめている気がしています。
なので、ぜひともまた「やりたいな」「今やれるかな」となったら再演をして、「あたらしいかたち」を見せてもらえたらなと思います。
今回のSQUARE AREA2023で再演に対する期待と希望が持て、その気持ちが強まりました。