実演鑑賞
満足度★★★★★
過去に凶悪犯罪を犯した者が自分たちの住む街に住んでいることを知った人々が抱く不安感。
これを蕎麦屋の天井の上を走るネズミの不快な音で巧みに表現している。
物語の最後で蕎麦屋の若い店員が元犯人であることを告白して店を去るとネズミの音は消失する。
だが「ネズミ狩り」が終わって一件落着したはず蕎麦屋の天井で再びネズミの音がし始める。
我々が常に「異端の発見と追放」を求める存在であることを象徴するラストシーンはまさに秀逸。
社会学者田野大輔氏は「権威への服従と異端者の排除を通じた共同体形成の仕組みのこと」をファシズムと呼んでいる。
その意味でこの芝居で描かれているのは「ファシズムの萌芽」ではないだろうか。
本宮真緒さんのファンなので見に行った芝居だが、演者全員の気迫溢れる演技に圧倒された。