実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/07/01 (土) 14:00
「壮絶な」という言葉が思い浮かぶようなイジメが描かれている。
イジメは、舞台の冒頭から過去のこととして語られる。
主人公はイジメられた結果、引きこもってYouTuber的なことをやっており、その中で自分の記憶が誰かの救いになるかもしれない、としてそのことを語るのだ。
半ば顔を隠した奇妙な白い影のようなものが彼の周りでうごめく。
記憶、感情、怒り、後ろめたさ、家族。
そう、家族への思いは、物語の重要な構成要素となっている。
過保護なくらいに彼を愛し、だからこそ傷つけ合ってしまう母。母に寄り添おうとしつつ彼に苛立ち、そしてなぜかスズキと付き合っていた姉。
主人公や姉は少しずつ大人になって、家族間の葛藤から互いを許す余地を見出していく。ラストまで見れば家族の再生の物語であると思える。
ただしそれにしては中学時代のイジメの描写のウエイトが大きくて、本当に描きたかったことはやはりそこなのかもしれない、とも思った。
面白かった、と単純に言ってしまうのはたぶん違う。でも、ある種の思いの強さが伝わる舞台だった、と思う。