実演鑑賞
満足度★★★★★
千秋楽。
学校は社会の縮図であり、社会の鏡だと常に思っている。世の中の全てがそこにあると思っている。そういう覚悟でいる。
だからこそ、学校だけは正しいことが罷り通る世界でありたい。うまくいかなくとも、そうあろうとする姿勢だけは持ち続けたい。教室を囲む舞台半面の鏡が外界との壁であり、隔たりでありながら、社会を映し出していることを、時に彼らの向こうに客席をも映しながら『お前はどんなんだ⁉️』と突きつけてくる。
「嫌な世の中だなぁ。」
ずっしり重い。社会に対する若者の苦悩や嫌悪。そう思わせてしまう世界を作ってしまった大人の責任を感じて気が滅入る。
監視社会。盗聴、盗撮。
隠し録り、隠し撮り。それを利用して誰かを陥れる。匿名で安全な場所から世に晒して攻撃することで自分を守る。悦に浸る。現代社会を歪ませたのは、間違いなく、米国が生み出したインターネットだと思っている。もちろん便利であり、化学や科学に罪はない。使う人間が未熟で愚かなだけだ。
「誰が見ているかわからない。」
人を信用できない世界。本音を隠してたてまえの鎧で完全武装してパーソナルスペースを守らなければ生きていけない。安心できる場所なんてない。だから、一歩でも踏み込んで来ようものなら徹底攻撃。それもかなりの粘着性をもって。
少子化は甘やかされる子どもを生み、甘やかす大人を生む。大人が大嫌いな思春期の子どもに気に入られたい大人は、大嫌いな大人の代表として子どもの側で子どもの成長を願って心に負荷をかけている教師を攻撃することで機嫌を取り、存在を示そうとする。それが愛情のカタチだと思い込んでいる。厄介なことだ。
賢く立ち振る舞っているようでも、子どもは子ども。身を守るために上手いこと手を打ったと思ってもボロが出る。やっちまったと、失敗した、マズイと感じたあの子はどうするのだろう。
矛盾だらけのエゴが渦巻く世界。それでも、現実の戦いに戻る人たち。そして、姿を消す二人。彼女はどうするのだろう。
ワタシは……どうするのだろう。