『メトロノームが叫んでる』 公演情報 ウテン結構「『メトロノームが叫んでる』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    現在と未来を往還し、自分の生き様を確認するような展開だが、その世界観が独特で面白い。人間の絆、時間の流れといった曖昧さの中で 自分の存在を確かめる といった感じだ。少しネタバレするが、ウテン結構第2シーズン「雨の世界」から続く後日談のような繋がり。この連関し、深まっていく感覚 好きだなぁ。

    会場の構造ー中央に折り返し階段があり、途中の踊り場から<案内人>が見下ろすような描き。同時にタイトルにあるメトロノームの音が時を刻むようで時空の違いを表わす。時空の変化に応じ 小道具を動かしたり配置を変え、情景を巧みに現わす。人物の衣裳は、白または黒という補色を着ており、時間と場所、その立ち位置によって変化する。そこに現在と未来という世界観、そして人間の二面(または多面)性を見るようだ。見方を変える…未来から見れば現在は過去になるという俯瞰構図の妙。

    物語の肝は、未来から過去を見る…過ごしてきた喜怒哀楽といった感情を置くことで見えてくる 今の思い。冷徹に見詰めることによって、今後の生き方への大きなヒントが見えてくるような。非現実的な世界観ではあるが、描かれているのはリアルな自己との対話のよう。が、公演の始まりと終わりから 別の捻りを利かせた構成のようにも…。
    (上演時間1時間50分 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    冒頭 ラジオ体操、台詞の読み合わせから始まり、ラジオ体操で終わる。公演全体が劇中劇仕立てで、本筋で描かれているのは或る公演の内容といった構成に思える。なかなか凝った仕掛けで、第2シーズンの公演を散りばめつつ、新たな物語(世界)を築く。

    舞台美術は、中央の階段下に額縁状の枠板が立ち、近くに椅子や小机が置かれている。 上手下手の壁には柱時計が並んでいる。ここは未来占い師がいる不純喫茶店、枠板を客席側(床)に倒すことで未来空間へ。本筋は記憶喪失の女1・2の謎めいた話、それが「雨の世界」に登場する女 しおり から続くよう。父の暴力から逃れるために雨の日に出奔する。自分の存在が知られないよう記憶喪失のふりをし、名前も変える。

    全体的に軽やかな立居振舞、それは フワッとした衣裳のせいであろうか。先の女1・2&先生、祖母 桜&孫 蒲公英、弓々子とマスターの三組が占い師 避雷針玲子によって未来の自分を見ることになる。未来には案内人(階段踊り場)がおり、現在の人に関係ある未来の人物を引き合わせ 見守る。よく耳にする<過去は変えられないが未来は変えられる>を連想させるような描き方。

    照明・音響といった舞台効果と言うよりは、一人ひとりの役者が醸し出す不思議な雰囲気(演技)が、独特の世界観を立ち上げている。敢て効果といえば、やはりメトロノームの振り子の音(未来が叫んでる)であろうか。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2023/12/20 18:34

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