ひめゆり 公演情報 ミュージカル座「ひめゆり」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    これこそ、戦争を語り継ぐべき名作舞台
    何度観ても、胸が潰れる思いがします。何度も、同じ場面で、胸が苦しくなります。そして、いつも、ラストシーンで、心に、希望が湧き上がり、人間の逞しさと生きる力に、静謐な感動で、心が満ち溢れ、勇気が湧いて来ます。

    もう、5回ぐらい観た舞台ですが、観る度に、これは、長く上演され続けて、未来の子供達にまで、戦争の愚かさや悲惨さや逆境を生き抜く人間の素晴らしさを語り継ぐ使命を全うしてほしい作品だと、強く感じます。

    主役のキミちゃんは、亡き本田美奈子さん、島田歌穂さんの名演を拝見しましたが、今回の知念里奈さんも、素晴らしかったです。

    客演のミュージカル俳優さんだけでなく、ミュージカル座の若い皆さんが、再演を重ねる毎に、実力ある方々ばかりになって、この劇団の進化にも目を見張りました。

    もし、ミュージカル座、食わず嫌いの方がいらしたら、是非、この作品だけでも、一度、騙されたと思って、ご覧になってみて頂きたいと、思うくらいです。

    ネタバレBOX

    いつも感心するのですが、冒頭から、短いシーンで、沖縄に迫り来る戦禍の嵐を的確に、観る者に伝える演出が見事です。
    ほとんど会話のない、ミュージカルで、歌で、登場人物の思いを表現しながら、沖縄戦の様々な事実や悲劇が、たくさんの情報量で、観る者の心に響きます。戦争に教え子を引き込んでしまった教師の苦悩と後悔までもが、きちんと描かれていて、感心します。
    説明台詞ではなく、各登場人物の心情表現の中で、それらが表出されて行くので、沖縄の歴史を知らない人間にも、それらの悲しい事実が、実体験の如く、胸に響いて来ます。
    この作品を書くに当たって、作者のハマナカさんがどれだけ、歴史を調べられたかは存じませんが、相当の志を持って、取り組まれたことは、この舞台を観れば、感じられます。
    知り合いの多いらしい客席の誰もが、息を呑んで見入っているのが、わかりました。
    こういう作品こそ、多くの学校などで、是非上演してほしいと痛切に思いました。

    ただ、いつも腑に落ちないことが一つだけ。檜山上等兵が、どうして、病院にいるのかが、疑問です。とても元気そうだし、別に怪我とかもしていないように見えるので…。

    今回のキャストは、皆さん、ほぼ良かったのですが、婦長役だけは、やや不満がありました。元在籍劇団の癖がまだ抜けず、お一人だけ、歌に感情がこもらず、芝居染みてしまって、残念でした。以前の、鈴木ほのかさんや土居裕子さんの名演が記憶に残っているので、これだけは、とても惜しいと感じられてなりませんでした。

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    2010/07/09 00:26

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