男女 公演情報 MacGuffins「男女」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    男ってこんなもんさ。
    男性からみた女性像の本音が話の主体になっていたために、男の子にこんな風に見られていたんだ、という驚きがあり、男の子って何を考えているの?女の子のこと、どう思っているんだろう?なんて素朴な謎がちょっぴり解けたような気がしたし、元気ハツラツにはっちゃけている役者さんたちはとても微笑ましかった。これであと、団体のカラーが出てきたら尚更良いですね。

    ネタバレBOX

    「18歳ロケット」
    視聴覚室で告白をするとカップルになれるとの噂を聞きつけて、大好き中野さんに告白を決めた宮本は坪井に冷やかされる。そこへやってきた土田は坪井とケンカになるが、土田は坪井に告白しふたりは部屋を後にする。驚きを隠せない宮本。だが、噂はどうやら本当らしい。間を置かずに今度は真淵が、更にお目当ての中野さんも部屋に来て、宮本と真淵はどちらが先に中野さんに告白をするか揉める。じゃんけんで順番がきまったところで今度は島貫という男がやってきた。何喰わぬ顔をして井伏鱒二全集1を読みはじめる島貫に告白の邪魔になると島貫を追い払おうとする宮本と真淵。部活動で視聴覚室を使っていると応戦する島貫。そして今、井伏鱒二が好きだと島貫に告白した中野が、『たま虫を見る』が掲載されている井伏鱒二全集2を借りるため、島貫の後について部屋を出ていく…。

    視聴覚室に入ってくる人々の認知度のズレ(勘ちがい)から生まれる予期せぬ笑いをテーマに『漁夫の利』を実例化したような話。
    同時刻にふたりの男子から呼び出されてた中野さんが彼らを目の前にして、
    「あら、おふたりさんお揃いで。」とかしらばっくれて弄んでもよかったような気はした。

    「エレクトリカルパレード」
    ディズニーランドに遊びに来たのに入場制限で入れなくて、泣く泣くお隣の葛西臨界公園にやってきた若いカップルが「前もってチケットを買っておけば、こんなことにはならなかった」とお互いを責め合っている。
    どちらとも一歩も引かない構えが続くなか、黒いマントを翻し怪しげな男が現れる。彼はディズニーランドの地下室で冷凍保存されたウォルト・ディズニーだと名乗る。無論、ふたりははなから信じていないのだが、地下室に繋がる鍵を開ける門番を探しあてれば、特別にディズニーランドに入れると言われたので女の方は自称ウォルト・ディズニーな男の話を信じているフリをして、写真で見せれられた門番をさがしはじめる。すると、彼女の子どもを名乗る女が目の前に現れ、女と浮気をしたと名乗る男も現れる。男女の喧嘩が激しく火花を散らす中、門番の『ウォーリー』が鍵を持ってやってくる。しかしふたりにはウォーリーの姿は見えない。夢を見ることを忘れてしまったからだろうか。ふたりは彼女の浮気が原因で離別する。

    既存のキャラクターをパロディー化して、『さがす』ことに副次的な意味合い噛ませているのは面白かったのだけど、ひとりづつ舞台にやってきて、何かをやらかすことが一話目からパターン化されてしまっているように思えたためか、女と浮気をしたらしい男が現れても意外性をあまり感じられなかった。また、その後で別れる話が出た時もお互いを責めることしか出来ないふたりなら、仕方がないかなぁ…と。
    別離に至るまでの男女の気持ちの変化のようなものが描かれていれば異なる印象を抱いたかもしれない。

    「love song 探して」
    働いたら負けだ、とは思わないけど働くのが勝ちとも思えない、生きてる実感を持てない二十代半ばの澤木がある日、バイトでもはじめようかと情報誌でみつけた会社に電話をする。電話を切ると、部屋から出て、電車に乗って街へ出る澤木の動向と、その他のキャストの動向が舞台の後方部に設置されたプロジェクターに投射され、この映像が終わると澤木が先ほど電話をした会社の面接の場面に切り替わる。映像のなかでストーリーを動かし、その続きを舞台ではじめるというのは非常に斬新だった。

    ドラクエに出てくる”くさったしたい”みたいだと自らを体言したことが買われた澤木はあっさり採用が決まる。この会社は実在しない女性になりすましたスタッフらが、女性と出会いたい男性ユーザーにメールを送信させることによって売上をつくっている悪質な出会い系サイトを運営しているが、ここで働く若者たちに人を騙しているという罪の意識は全くなく、彼らの創作したキャラクターとやりとりをしているユーザーをおちょくったりしている。そこへ、サイトの高額利用者ジャスティスが登場し事態は一変する。
    借金を作ってまでサイトを利用していた彼は架空の住所を記載しているこの会社を調べあげ、これまで入金してきた分を取り返しに来たのだった。

    「金を持ってこい」とまくし立てるジャスティスに「近くの金庫から取ってくる。」
    と部屋からひとり出て行き、彼が部屋に戻ってこないことを悟った残りのスタッフらがあの手この手をつかって何とかこの部屋から脱出しようとするのはおもしろかった。
    まぁ、二人目と三人目はビルの地下に金庫があるとバレバレの嘘をついてどさくさに紛れてノリで出て行った感はあるけど、四人目のメールレディが、「借金を作ってまでして架空の女性に惚れこむ一途なジャスティスさんはカッコイイ」といい、ジャスティスさんとなら寝れるとまで言い放つあのくだりは秀逸だった。ジャスティスを混乱させる狙いがあったのだろうか。これをきっかけに彼女は無事、外へ出られた。

    残るは”くさったしたいくん”ただひとり。
    社会人への一歩(就職)につまづいてしまった自分に比べて、普通に毎日働いて、普通に子どもがいて、普通にローンで家を買って・・・そんなことを普通にしているジャスティスをベタ褒めした上であなたにも家族がいるのだし、僕もせっかく決まった仕事を失うことになるからこのことは誰にも言わないからもう止めましょう。と諭す。ここでの駆け引きはなかなか見応えがあった。
    最後にジャスティスが彼を刺殺してしまうだろうことは途中で何となく想像はついたがものの、いざそうなってみると非常に後味が悪かった。

    「10 Years Later」
    「18歳ロケット」から十年後、風俗嬢になっていた中野さんに”中身のないたまねぎ”を差し出す男子のしぐさが印象的だったけれど、残りの男子たちは一体何をしているの?という謎が残った。

    全体的に、良くも悪くも舞台空間の使い方が平面的で、テレビをみている感覚に近かった。それが団体の特色だとしたら、テンポやリズム感に何かしら工夫は必要ではないか、と。
    あと、まくしたてるような喋り方をしている登場人物ばかりだったのは気になってしまった。もう少し違ったタイプのキャラクターも見てみたかったかな。

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    2010/07/06 02:28

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  • 暑い中、会場まで足を運んでいただき、
    まことにありがとうございました!

    4本すべての内容まで事細かに書き留めてくださり、
    その上で貴重なご意見をいただき、
    ほんとうにありがとうございます。

    ご指摘いただいた部分は、
    マクガフィンズの今後の活動に生かしますので、
    今後とも、ごひいきに。
    よろしくお願い致します。

    2010/07/09 03:54

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