無駄な抵抗 公演情報 世田谷パブリックシアター「無駄な抵抗」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    最前はD列。
    駅前の円形広場、何故かもうこの駅に電車が止まることはない。全て通過していくのみ。知らせも何もなくいつのまにかにそうなった。

    シルクハットの大道芸人(浜田信也氏)は決して何もしない。「何もしない」ことをしているとうそぶく。

    カフェの店長(大窪人衛氏)は電車が停車するよう署名活動を始めた。

    この町に戻って来た元占い師のカウンセラー(松雪泰子さん)、予約した客(池谷のぶえさん)は学生時代の同級生。当時クラス内で特別視されていた彼女から、「あなたは人を殺す」という予言を受けたと言う。カウンセラーには全く記憶にない。客は今、歯科医で羽振りが良くホストにハマっている。孤独な彼女を心配する兄(盛隆二氏)。

    町の名士である資産家の老人から依頼を受けている探偵(安井順平氏)。老人の孫(穂志もえかさん)はその中身が気になって仕方がない。

    児童養護施設で共に育ったホスト(渡邊圭祐氏)と産んだ子供を施設に預けたシンママ(清水葉月さん)。こんな思いは絶対自分の子供にはさせないと誓った筈が同じ状況を繰り返す。

    施設の前で捨てられていた赤子を拾った職員(森下創氏)は今、駅ビルの警備員に。

    カウンセリングで掘り起こされる内容が『羊たちの沈黙』を思わせる。
    挟まれる「こんな夢を見た」が効果的。

    穂志もえかさんが永野芽郁と剛力彩芽を足したみたいな可愛らしさ。渡部豪太の妹みたいにも見えた。キャスティングセンスが良い。
    清水葉月さんや穂志もえかさんの口調や内容がかなりリアル。それを受ける安井順平氏の対応もリアルで嘘臭くない。

    大御所映画監督が余生に撮るエピローグのような作品。
    かなりラディカルな煽りを込めている。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    カウンセラーが松雪泰子さんだとは最後まで気が付かなかった。
    ガイドラインの筋としては、能力者の男が弟の女房に子供を産ませ、更にその産まれた娘を孕ませる近親相姦。しかも娘が産んだ子はホストになり、娘の担当となっている。ハインラインの「輪廻の蛇」のようなカルマ尽くし。

    作家は因果律を超えた自己肯定を提唱。何もしなくてもいいんだよ、胸張って生きろ!と。ラディカルな提言で悩む苦しむ人間達に告げる。どうしようもなく駄目な自身を肯定しろ!ありのままでいいじゃないか!

    ※何か村上春樹っぽい。村上春樹のあの感覚は舞台が一番適しているのかも。

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    2023/11/11 23:51

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