あなたはわたしに死を与えたートリカブト殺人事件ー 公演情報 ISAWO BOOKSTORE「あなたはわたしに死を与えたートリカブト殺人事件ー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    『トリカブト殺人事件』と聞いて連想するのは『本庄保険金殺人事件』。「だがこれ平成だしな。」と思っていたら全く知らない事件だった。
    全く前知識のない事件だった為、非常に面白かった。1984年に三浦和義が妻に多額の保険を掛けて「疑惑の銃弾」で殺させたのではないか?と『ロス疑惑』報道が過熱。その余波で1986年のこの事件も大々的に注目されたのだろう。

    新婚の妻との沖縄旅行、妻の友人3人も招待。石垣島に向かう那覇空港で、神谷力は「急用を思い出した」と別行動に。彼と別れて1時間40分後、妻は苦しみ出し救急車で病院に運ばれて死亡。行政解剖にあたった大野曜吉は死因を急性心筋梗塞と診断。しかし、神谷力の言動に何か不可解なものを感じる。
    出会って4ヶ月で結婚、結婚して3ヶ月で死亡。四社で1億8500万円の生命保険に亡くなる二十日前に加入させていたこと。前妻二人も心筋梗塞、急性心不全で亡くなっていた。マスコミ(今作では週刊誌「WEEKLEY」)が騒ぎ出し、保険会社も支払いを保留する。

    神谷力に是近敦之(あつし)氏。高知東生っぽくもあり、妙な魅力のある男をリアルに肉付け。
    最大の敵となる大野曜吉医師に児島功一氏、見事に色気のある空間を作り出した。
    主人公的ライターに佐野功氏、事件の真相を突き止める事ができるのか?
    ライターの元カノで被害者の同僚に堤千穂さん。今作では工藤夕貴っぽかった。
    記者他に虎玉大介氏。早変わり。
    保険外交員他に上田尋さん。アンミカみたいな喋り。
    被害者の弟だが、神谷力に恩義を感じている大学生に麻生竜司氏。彼の存在がただの犯罪再現ドラマにしないアクセントになった。喉仏が大きい。

    神谷力と大野曜吉の対決、二人の研究者が法廷で向かい合うクライマックスは映画的。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    神谷力はただの金目当ての保険金殺人犯ではなく、ある種の化学者、研究者であったことが面白い。

    小5の時、母親が大量の睡眠薬で自殺。神谷は小6から工場に住み込みで働いたという。父親は元東北大学工学部教授、化学者になりたかった神谷は苦学のもと、東北大学を受験するも失敗。個人的に実験用のアパートを借り、大学の研究室並みの実験機材を揃えマウスで実験していた。
    トリカブト毒のアコニチンとフグ毒のテトロドトキシンには拮抗作用があることを知る。同時に服用すると症状が現れないが、フグ毒の方が体内から先に消える為、その後トリカブト毒の症状が現れること。この二つの毒の配合を調節することで、時限式トリカブト毒の開発に成功したのだ。

    公判で大野曜吉がそのトリックを暴いた時、興奮する神谷。「実験にマウスは何匹使ったんですか?マウスは何匹?」アマチュアの自分の研究成果をプロの教授が認めてくれた喜び!

    トリカブトの名の由来は花が烏帽子に似ているかららしい。タイトルはトリカブトの花言葉の一つ。母親へのメッセージだったのか。母親は(多分)38歳で亡くなり、妻二人も38歳だった。(最後の妻は33歳だったが)。

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    2023/11/09 13:36

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