皇国のダンサー 公演情報 劇団黒テント「皇国のダンサー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    主演のダンサーが天才作曲家・服部良一氏の次男、服部吉次(よしつぐ)氏78歳!ジャニー喜多川から70年前に受けた性加害の告発で話題となった。「如何に沈黙することが恐ろしいことか。」は余りにも重い言葉。

    前作『亡国のダンサー』から6年目、同テーマのリブートなのか、前作を観ていないので判断はつかない。
    「大化の改新」と「システムとしての天皇制」がテーマのようにも。

    スクリーンに投影される膨大な文章、映像、写真。地下鉄、コンクリート、灰色、雑踏。
    「雨が降っていた」「ダンサーはどこへ」

    謎の部屋で目を覚ます片岡哲也氏。ずっと倒れていたようだ。そこを管理する者達から極薄スマホのような端末を渡される。「自分の情報を登録するように」と。だが何度名前を入れてみても入力されない。閉ざされた部屋で何も出来ずじっとするのみ。
    ある日、渡されたゴーグルを掛けると部屋の隅に女性(岡薫さん)が倒れている姿が見える。ずっとこの部屋にいたらしい。女性は更にもう一人の人物の気配を感じると言う。その老人こそ、服部吉次氏。フレッド・アステアのムードで軽やかに舞台を彩るステップ。
    どうやらここは地下もある巨大なビルらしい。長い坂を登り切った先にある。窓から見える風景が妙に懐かしい。

    別役実っぽく、押井守の『イノセンス』や大友克洋の『AKIRA』のようでもある。『アルファヴィル』や『未来世紀ブラジル』を連想させる近未来ディストピアの管理社会、無数に続く質問攻め。
    問い掛けのされない答がそこらの床に雑然と転がっているが、誰もそんなものには見向きもしない。答ではなく、質問にしか人は興味を示さないからだ。

    ネタバレBOX

    序盤から眠りに落ちる客は多かった、まあテンポがのろいので面白くはない。ただ観客席はぎゅうぎゅう詰め。古くからのファンが詰め掛けているようだ。草薙素子とアムロ・レイの名前が唐突に出て来た時の異化効果が凄かった。(アムロ・レイは古すぎるが)。

    現行プログラムを自ら書き換える為にサイバースペース内で「大化の改新(乙巳の変)」を行なう必要があった。それにはダンサーが必須。ダンサーを捜し続ける者達。

    「乙巳の変(いっしのへん)」、645年に中大兄皇子と中臣鎌足等が蘇我入鹿を暗殺した政変。その後の改革を「大化の改新」と呼ぶ。このクーデターにより皇位を奪おうとまで画策していた最高権力者、蘇我家直系は絶えた。
    その暗殺の際、用心深い入鹿を丸腰にしたのは俳優(わざひと)。俳優の滑稽な仕草に気を許し、つい剣を手渡してしまう。それが今作ではダンサーと呼ばれる存在。

    滝本直子さんの亡き父(高校の教頭)、服部吉次氏。前妻の息子、片岡哲也氏。父の愛人、岡薫さん。サイバースペースのアバターとして侵入し、目的を遂行しなくてはならない。ダンサーは踊らねば。

    ※オウムのPSIヘッドギアが好き。

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    2023/11/02 16:32

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