期待度♪♪♪♪♪
遊戯空間、満を持しての「吉良屋敷」と言えよう。というのも物事には様々な見方、解釈があり、ことの本質を捉える為に我々が行い得ることは、出来る限り客観化することであるからだ。そうは言ってもそれぞれの主張や経験から得た様々な拘り、染み付いた思念というものは易々と超えられることはない。これを越える為にはより深い知識や洞察、思考が必要である。遊戯空間を主宰する篠本賢一氏は、この作業を今作と対を為す「忠臣蔵」を描いた全段通しの「仮名手本忠臣蔵」を10年以上上演することで培ってきた。その上で選んだのが今作である。原作は山田洋次門下の関根俊夫氏。上演台本・美術・演出が篠本賢一氏である。吉良役にこれまで大星由良助を演じてきた佐々木梅治氏を充てドラマに深みを持たせた。然も上演する劇場は吉良邸跡から目と鼻の先、シアターX、これは観るしかあるまい。