フツーの生活 公演情報 44 Produce Unit「フツーの生活」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    「沖縄戦」のフツーの生活
    いろんなものが盛り込まれていた。
    それには意義もあろうが、やや単調となったことも否めない。

    ネタバレBOX

    「沖縄戦」と聞いて、即座に頭に浮かぶことがいくつかある。ガマ(洞窟)、沖縄住民と日本兵の関係、現地召集兵、米軍の対応、太平洋戦争における沖縄戦の位置付け、ガマ内での対立(赤ちゃんの泣き声)、ガマへの馬乗り攻撃、脱走兵、女子や少年の挺身隊、野戦病院と傷病兵の扱い、日本軍の転進、沖縄の方言とスパイ、などなど。
    この舞台は、それをすべて盛り込んだと言ってもよいだろう。

    それに、当時の教育や大陸での日本兵の様子、さらに天皇陛下のことなどもプラスされていた。

    とにかく盛りだくさんである。しかし、いずれもが紋切り型である。「沖縄戦」と聞いたときからの、想像の範囲内と言ってもいいだろう。

    劇中に「この出来事を後生に伝える」という意味の台詞があったが、沖縄戦を知らない若者には、それは一体どういう戦場だったのかを知るための1つの手かがりにはなる、という意味では、その存在意義はあったと思う。

    そうでない観客にとっては、今1歩新鮮味に欠けてしまったように思える。

    しかし、沖縄戦のことは、本や映画などでしか知らない私だが、舞台上で行われていることから触発されて、沖縄戦で起こったいろいろな出来事(あくまでも本や映画の中だけの内容だが)などを思い起こしてしまい、目頭が熱くなるシーンがいくつかあった。
    それは、それを期待してつくられたシーンではなかったと思うのだが。

    舞台は、ガマ(洞窟)の中で行われるので、ほぼ薄暗い中で行われていた。
    沖縄の歌が随所で使われていて、そこだけに明るさがあった。

    新納敏正さん演じるおしいさんが特に印象に残った。
    44北川さんが演じる元兵隊は、自分の家族に対して、あんなにヒステリックになるのかな、というのが大きな疑問だった。ただ、沖縄戦・ガマ・赤ちゃんという図式の中で、日本兵だけを悪く描かないところに、ポイントがあったのかもしれないが、それにしても、である。

    せっかく冒頭に「みんな家族のようなものだ」という台詞があるのだから、それを受けて、沖縄の優しい家族の姿を見せてほしかったと思う。内地からやって来た人たち(女性と軍曹)もそれに触れて・・というストーリーにしたならば、もう少し物語が広がり、心を打ったのではないかと思うのだ。

    また、タイトルにある「フツーの生活」に、こだわった台詞がいくつかあったのだが、そこはもうひとつ大きな何かを与えてはくれなかった。

    「国民は天皇陛下の子どもなんだから、親が子どもを・・云々」という台詞が後半、少し強い口調で、やや唐突に出てくる。なんとなくどこかで聞いたことあるような台詞だったし、「陛下が謝ってくださる」という台詞は、その意味と内容は違うものの、先日、井上ひさしさんの『夢の痂』を観たばかりなので、少し気になった。

    今回の『フツーの生活』は、「戦中戦後三部作」ということなのだが、残る「宮崎編」「長崎編」も想定の範囲内なのだろうか、ちょっと気になる。

    5

    2010/06/22 05:36

    0

    0

  • KAEさん

    私のKAEさんのところへのコメントについての件は、KAEさんのところへ書き込みました。
    誤解があったのであれば、お詫びいたします。

    2010/06/26 04:14

    アキラさま、KAEさま

    ありがとうございます。感想は人それぞれなので、こりっちでは私はどなたのご意見にも異を唱えるつもりはないんですね。正直、自分が大感動した作品とはいえず、確かにいままでどこかで聞いたような体験や話の域は出ていなくて不満もあります。ただ、中島さんの文章や北川さんや何人かの出演者のブログの文章などを読みますと、彼らなりに戦争体験者の人たちに直接会って話も聞いていますし、不出来かもしれないけど、ハナからいい加減に向き合ってるつもりはなかったと思うのです(私個人の感想です。KAEさんがそう言う言葉をおっしゃったという意味ではありません。ご理解ください)。自分はこの作品を全否定はできなかったというだけで、KAEさんやワカサギさんの意見をまっこう否定するつもりはまったくありません。それはそれで思うまま主張されて当然と思っています。制作状況がどうであれ、また、観た人がどう褒めようが、自分が観たうえでの受け止め方は譲れないのはあたりまえです。私の言葉が足りなかったかもしれませんし、私が戦争や沖縄について不勉強なために理解が足りないのかもしれませんので、浅見の段はお許しください。
    「冒涜と断じる」というのは、KAEさんの意見をさすのではなく、昨今、TVや映画でも「戦争を不十分に描くこと=戦争への冒涜」という解釈される向きがあり、その点で、もし本作もその謗りがなされるかもしれないが(誰がというのではなく、あくまで一般論で、です)、自分は不十分=冒涜とまでは断じ切れないと言いたかったので、KAEさんの見方への批判ではないことを申し述べさせていただきます。
    アキラさんとKAEさんのお話に割って入るつもりはないですし、KAEさんのアキラさんへの返信も拝読しましたので、自分のコメントはここでとどめます。

    2010/06/26 02:13

    アキラ様、きゃ様

    横から失礼致します。
    きゃるさんのアキラさん宛てのコメントを拝読しました。
    もしかしたら、後半部分、私の感想に対する御見解が記されているのではと思いました。
    もし、そうなら、アキラさんへの、私のコメント欄からの返信に、その件も合わせて、書いておりますので、お時間のある時に、ご覧頂ければ幸いです。

    2010/06/25 20:31

    きゃるさん

    コメントありがとうございます。

    きゃるさんの熱いレビューも拝見いたしました。実際の体験者もいらしていたんですね。
    その方に喜んでいただけたのならば、言うことはありません。

    私は、自分の「観てきた」に書いたように、どうも総花的な印象は拭えませんでした。だからと言って、否定する気はありませんし、同様に書いたように、戦争を知らない世代(あるいは人)にとっては、意義があるものだと思います。
    つまり、戦争は語り継ぐべきものです。誰かがしないと継ぐことができないのです。

    ただし、いくつかの、とても気になる点があり、それも「観てきた」に書いたとおりです。特に天皇陛下に関する台詞は、いきなりすぎて違和感がありました。

    ちなみに、私と一緒に観た者は、あまりにも紋切り型の展開にガッカリしたと言っていました。

    これは、憶測ですが、沖縄戦を扱うことで、あるいは取材をしたことで、どれが「フツー」だったのかが、わからなくなって、最大公約数になってしまったのかもしれません。
    私としては、もっと、個人に寄り添った、具体的な姿を創作してほしかったと思ったのです。

    その意味では、それほど楽しめなかった(この言い方は語弊があるかもしれませんが、演劇というエンターテイメント的に、ということです)のです。

    2010/06/25 06:57

    アキラさま

    PC修理中にあわてて電話予約し、あとからほかのかたのレビューを見て「申し込むべきではなかったかな」と後悔しましたが、自分の目で確かめたい気も強かったです。アキラさまのレビューを読ませていただいて、自分の言いたいことに似ている気がしました。
    新味に欠けるものの、脚本家がまったく取材しないで本の知識だけで書いたわけではなく、現地の戦時体験者にも会って取材したってHPやパンフにも書いてありましたし。井上ひさしさんのものは観ていないので比べられないですが。
    まー、正直、それほど感心する場面はなかったんだけど、じゃあ全然感動しなかったかというとそうでもない。自分にとって口をきわめて非難するほど酷い作品とまでは思えなかったです。
    本の知識でさえまったく戦争を知らない人にはそれなりに価値があったと思うし。
    近年、8月にテレビでひところのように戦争ドラマがあまり放送されないという傾向が続いていますが、やはり、戦争を知ってる世代の映画監督が終戦後まもなく撮った映画などと比べるとTVドラマは全然深みが違うと感じています。だからといって、本作が「冒涜」とまで非難される作品とは思えませんが。44北川さんは照れもあってノーテンキな制作記を書いていますが、そんなに安易にナメて企画を作ったつもりはないはずで、関係者の話ではそれなりに自身体験のない戦争と向き合い、苦悩もしているようです。
    レビューに書いたように、沖縄の戦争体験者が観て涙したり、ホールの職員にお礼を言ってた高齢者客もいたので、ほっとしました。必ずしも全員が不快になる芝居ではないのであって、戦争を知らない人が「冒涜」とのみ断じるのも違和感があります(本作を観て肯定的な戦争体験者もいるので)。
    ほかの2作も気になるので観てはみようかなーと考えています。親交のある俳優さんも今回出ているので。自分は市井の平和視察団にも志願して長崎・広島の平和記念式典にも出席し、戦跡見学もしたことがあるので、長崎編含め、他の2作も興味はあります。

    2010/06/25 05:34

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