「HATTORI半蔵‐零‐」 公演情報 SPIRAL CHARIOTS「「HATTORI半蔵‐零‐」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い、お薦め。
    ㊗20周年記念公演、物語は勿論面白いが、何といっても 見どころは殺陣・アクションのスピードと迫力。そして その緊張感を支える音響と照明、特にプロジェクションマッピングの効果的な使い方は見事。少しネタバレするが、物語に登場する忍者は〈赤目の里〉という集落で育った仲間。その仲間がアズチモモヤマ時代に群雄割拠した将ー織田・徳川・伊達・毛利・上杉・武田に夫々仕え、相見えるという。後景に里の風景を映すが、昼間は長閑な茅葺屋根の家々、夜は家の灯が美しい、そんな安らぎが感じられる。それが戦場ともなれば、一転 忍術を駆使する戦いが…。戦争と平和ならぬ蹂躙と情愛が交差する戦国絵巻といった壮大な物語。

    説明にある「赤目の里で育った【忌み子】『伴左衛門(サエモン)』と、零代『ハットリ半蔵葛(カズラ)』 2人も其々大名に召し仕えられる。 「天下泰平」徳川イエヤスに仕えるカズラ。 そして「非道鬼人」織田ノブナガに仕えるサエモン」、その表裏の奥に隠された〈思い〉と〈思惑〉が肝。

    公演は、途中休憩(10分)を挟み2時間45分を怒濤のように駆け抜ける といった展開である。緊張したシーンだけではなく、時々 笑いや遊び心あるシーンを挿入し、息抜きをさせるよう。そんな心遣いもあり飽きることなく観ることが出来る。また衣裳や得物といった観(魅)せ方にも工夫があり楽しませる。見た目の面白さだけではなく、登場人物のキャラクターを立ち上げ、人間いや忍者の<業>のようなものを描く。ちなみに 人間であるまえに忍者だ、という台詞に<業>の深さと哀しさが隠されており、ここも見どころの1つ。
    (上演時間2時間45分 途中休憩10分) 【Bチーム】 10.9追記

    ネタバレBOX

    舞台美術は高さがある疑似対象、上手 下手に階段を設えているが、その向きが 真横か斜めといった違いがある。中央にも階段があり、上部は左右の引き戸(襖)になっている。正面壁は舎の字型のようで、そこにプロジェクションマッピングすることで、色々な情景を映し出す。

    史実に擬えた架空の戦国時代ー倭の国 ジパングのアズチモモヤマー、群雄割拠した織田・徳川・伊達・毛利・上杉・武田に「赤目の里」で育った忍者が袂を分かって仕え、敵対することになる。しかし、副題に「己が不要になる世を夢見た零」とあることから、深読みすれば反戦ドラマのような。

    見所は、史実とは異なり、織田と毛利(女将)が同盟したり、上杉(女将)と武田そして伊達が手を組むなど奇想天外な展開。そして最後は非道鬼人と恐れられた織田と天下泰平を掲げる徳川による戦(いくさ)。また赤目の里で育った【忌み子】伴左衛門(サエモン)が織田に仕え、零代 ハットリ半蔵葛(カズラ)が徳川へ、そして夫々の秘術の限りを尽くす。といっても伴左衛門(サエモン)は <恋>させることしか出来ない。

    織田と徳川、サエモンとカズラは表裏の関係にある。織田は敢えて悪役を買い、自分を葬ることで徳川の天下泰平を叶える。また忌の子はカズラで サエモンは身代わりとなって、虐められないよう守っていた。人の表面(言葉や行動)だけでは、本心は解らず誤った判断をする。
    また忍者の業(ごう)のような所業ー赤目の里に代々伝わる秘伝(巻物)を奪う。同じ里の忍者でありながら、仲間より強くありたいという欲望。戦国の世と忍者という、いずれも己が一番でありたいと…。特に赤目の里人は ”人間である前に忍者” という哀れ。

    公演の魅力は 先にも記したが、演技ー殺陣・アクションのスピードと圧倒的な迫力。衣裳や得物でビジュアル的に観(魅)せ楽しませる。勿論 照明(プロジェクションマッピング)や音響(羽音)など臨場感溢れる舞台技術も効果的だ。そして所々に挿入する笑いの数々によって飽きさせることなく舞台に集中させる上手さ。
    次回公演も楽しみにしております。

    0

    2023/10/02 06:06

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大