天召し -テンメシ- 公演情報 ラビット番長「天召し -テンメシ-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    「新宿の殺し屋」小池重明(本名はシゲアキだが皆ジュウメイと呼ぶ)。SM小説の大家であり、アマチュア将棋連盟の機関誌の編集長まで務めた団鬼六が晩年の面倒を見た。賭け将棋(真剣師)の世界では伝説、プロを相手にしても連戦連勝。特例でプロへの編入寸前まで行ったが、借金問題と女性問題が噴出して御破算。社会不適合者で生来の破滅主義者。どうしようもないクズ中のクズだが、将棋盤を前に座れば化物のように強い。まさに漫画のキャラクターのような男。最後は重度の肝硬変、病室で自らの身体に刺さったチューブを引き千切って自殺。

    「怪童丸」村山聖(さとし)。腎臓の難病、ネフローゼ症候群を5歳で発症。ずっと死と隣り合わせで病院内の教室で学ぶ。狂ったように将棋にのめり込み、月3回の外出日にひたすら将棋教室に通い詰める。入退院を繰り返しながらプロになるも、A級在籍のまま29で逝去。大崎善生の書いた『聖の青春』はドラマ、舞台、映画にもなった。(映画では松山ケンイチが演ずる)。山本おさむの漫画『聖 ー天才・羽生が恐れた男ー』は傑作なのでお薦め。『月下の棋士』や『3月のライオン』にも村山をモデルとしたキャラが登場する。

    小池重明に西川智宏氏、文句なしのMVP。生まれながらのカルマに塗れたどうしようもなさと天性の人たらし。
    村山聖に渡辺あつし氏。妙な愛らしさ。
    団鬼六に野崎保氏。盤石。
    大崎善生に宇田川佳寿記氏。いろんなキャラが合わさっている。
    ラーメン屋の店員に岡本美歌さん。泣かせる。

    一番自分が将棋に熱狂していた時代のスター、記憶が甦る。
    将棋界の『座頭市と用心棒』。どちらも絶対に負けられない戦い。テーマは『約束』。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    何か脚本がまとまっていない。構成もイマイチ。団鬼六目線で大崎善生から二人の棋士の伝聞を、その都度聞くテイにした方が時間の経過も感じられた筈。この二人を使ったにしてはちょっと勿体無い。だが泣いた。村山聖のことをいろいろと思い出した。村山は恋愛に憧れ、少女漫画のマニアでもあった。病気のせいで体中がむくみ寝たきりになりながらも妄想で女性を夢見た。膀胱癌になっても「子供を作れなくなる」と手術を拒否。結局、手術で膀胱と片方の腎臓を摘出したが亡くなった。そんな村山聖に今作は最高のラストを用意してくれている。多分、村山はニヤニヤして観ている筈。

    実際1982年、西日暮里将棋センターにて中学生将棋名人戦の為、上京した中1の村山聖が当時全盛期34歳の小池重明と一局指している。大熱戦の末、村山が制す。小池はニコッと「僕、強いなあ」。

    天召し=天馬の蹄の如し。

    ※コメント有難うございます。

    3

    2023/09/23 07:53

    4

    0

  • ヴァンフルー様
    ご来場ありがとございました!

    2023/09/25 11:33

    ヴァンフルー様
    ご観劇いただきありがとうございました!
    ご感想いただけて嬉しいです!

    2023/09/23 13:46

    ラビ番の将棋ものは毎回観ています。そのような背景があるんですね。余計興味が増しました。ありがとうございます。

    2023/09/23 11:24

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