『会議』『街角の事件』交互公演 公演情報 Pカンパニー「『会議』『街角の事件』交互公演」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2023/09/06 (水) 19:00

    座席1階

    「会議」をまず、拝見。Pカンパニーの「べつやくづくし」の中でも、上位に入る面白さだ。

    まず、開幕前の舞台に納得。定番の電柱に裸電球。これは自分的に言うと好みなので「そう来なくっちゃ」という感じである。冒頭、アルバイトと思われる数人が木製テーブルといすを運んでくる。まず、偉そうに振る舞っているのがこのバイトたちを束ねる担当者のおじさんだが、やがて入ってくるこの仕事を発注したと思われる紳士に会話の主導権が移る。この紳士によると、人間の会議志向を証明するのが目的なのだという。電柱がある屋外に机といすを持ち込んで「会議」だというのだから相当おかしいが、不思議なことに客席はこのシチュエーションをすんなりと受け入れてしまう。
    別役戯曲の面白さの一つは、会話の主導権が次々に別の人に移り目くらましをされていくところだ。なるほど、相当な不条理だ。今作でも、バイトが「壊れているいすがあった」というのだが、バイトの担当者のおじさんは「そんなはずはない。壊れていたとしたらお前たちが壊したんだ」と毒づくがそれはその場面だけですっかり忘れてしまう。だが、こうしてすんなりと受け入れられるシチュエーションの中に、重大なカギが潜んでいる。
    会話の主役は続いて、たまたま通りかかった風情の「会議参加者」に移る。これも別役戯曲ではよく見られるが、その一人ひとりが勝手な会話を繰り広げる。てんでバラバラに交わされている会話のようだが、実は巧妙に織り込まれていて、やがてキーパーソンである男が登場する。劇はこの男を中心に急展開し、客席は路上という公共空間で行われる殺人事件を目撃することになる。

    こうした見どころが1時間20分の舞台に凝縮されているのだから、面白くないわけがない。
    2本だてにしなくて、これ1本で締めたのは正解だ。帰りの電車で「あの場面の会話は、ここを解く鍵だったのか」などと反すうして楽しむことができる。 

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    2023/09/06 21:58

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