満足度★★★★★
神経がチリチリと痛い。
松尾さん、三浦さんの名前。そしてポスターに惹かれ、何も知らずに観に行った。
行った結果、3時間強の長い芝居であること、アフターライブがあることを知った。
高さの差を使ったセットは視点を移動させることを楽しませてくれる。
男と女、それぞれの部屋、喫茶店、ホテルと同じ舞台上にありながら高低、前後と使い違う顔を見せる。
第1部は男女の出会いを見せる。
大きな山はないが、イライラするほどじれったく二人が近づいて行く様子を見せてくれる。
少し異常に感じるほどに優しい夫を演じる松尾スズキ、何かと世話を焼く安藤サクラもいい。
ここのところ安藤サクラは、ブスでしかし、男にしがみつくという役ばかり見ている。
第2部は展開が起る。劇的に。観ている最中何故か「序破急」の言葉が思いついた。
起る出来事は想定内のことばかり。
しかし、「なーんだ、やっぱりね。」とはならず、焦燥感がこみ上げてくる。
登場人物の誰もが下らない人間でそしてそれを本人たちも知っている。
そのことが観客の感情を平常なままにはさせないのだろう。
実際、登場人物たちは大した言葉を発していない。(この場合は、妙にひねった言葉や難しい言葉という意味で)
しかし、彼らの発する言葉は陳腐であっても彼らの言葉で発している。
彼らは確かに生きている。そう感じた。
松尾スズキが田中圭を威嚇するシーンは笑えた。
が、もう少し松尾スズキの演技が過剰だったら台無しになっていただろう。ギリギリだった。
また、いつも背中を丸めた演技の田中圭の、場面によっての丸め具合の差は良かった。
個人的には暗転が多かったことがちょっとマイナスに感じた。
客席は満席。
田中圭と峯田和伸の人気だろう。