満足度★★
そこに家族の繋がりはあるのか。
久保家と同様の点を述べれば、「セリフの間が無い」、「キャラクターの間の距離が取れていない」、「トチリが多い」だろう。
トチリが多いことに関しては、準備不足やスタッフワークとのかけ持ちなどいろいろあるんじゃないかと思うが、トチリをトチリとして舞台に出してしまっては失敗だろう。
トチリを観客に気付かせない、トチリを演技に転化させる、等が出来たら立派なものだと思う。人間だからトチリは当然だ。
こちらは久保家とは違いベテラン組と聞いていたので、確かに久保家よりは上手い。
だが、セリフの間はやはりない。
「久保家より」という比較を入れるのはあまりに無意味なのでここから入れません。
セリフの間がほぼ一定であることは、相手のセリフを役者が自分の中に取り入れないまま発していることを意味する。
当然役者達は自分のセリフの意味をも自分のものにしていないということだ。
セリフがこなれて見えるのはあくまで見えるだけ。
演技力で自然な訳ではなく、舞台を何度か経験すれば誰もが慣れてくるだけの事だ。
キャラクター間の距離についてだが、一番不自然に感じるのは姉夫婦。
結婚何年か経ち、子供も出来て(その子供を亡くして3年だということだ)、それであの喋り方というのはどうだろう。
夫婦のあり方にはいろいろあり、すべてが一般的なものではないだろうが、かといって、納得できないほどおかしいままでいいというわけでもなかろう。
観客には「こんな夫婦もあっていい」と思わせなければ、違和感としてずっと残り、それが観劇を阻害させる。
また、歳をとった(といっても2、30代だが)兄弟たちの関係というのもこういうものか疑問ではあった。
それから、バックで流れていた「セミの声」。
舞台はお盆の設定で流していたのだろうが、セミの声は主にミンミンゼミであった。
いまどきミンミンゼミ自体が珍しいと思うのだが、これには意図があったのだろうか。
もしそうでないなら、もう少し考えてはどうか。
ラストで結末を暗示はするものの、明示していないところは好感が持てた。