ザ・ショルダーパッズ この身ひとつで 公演情報 劇団鹿殺し「ザ・ショルダーパッズ この身ひとつで」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    『⿅版 The Wizard of OZ』観劇。
    面白い、お薦め。
    冒頭、菜月チョビさんが、挨拶として劇団草創期の頃の話をしていたが、この公演にピッタリのような。そう、「裸一貫」という言葉に相応しく、何もないが その向こうにある事が想像できる、そんなロマンを感じさせる。芝居という虚構性の魅力、観客の想像力を最大限に引き出し、楽しませる公演。同時にジーンとくるものがある。

    自分が知っている「オズの魔法使」に沿った内容…ドロシー(丸尾丸一郎サン)とトト(菜月チョビサン)が中心になって物語を牽引し、それ以外の役者は一人何役も担い夢と冒険の世界へ誘ってくれる。この冒険の中で、勇気や知恵を出し合い 絆を育み深めながら困難を乗り越えていく過程は、冒頭のチョビさんの挨拶を彷彿とさせる。

    公演の特長である「この身ひとつで」、飛び跳ね、ムーブメント、フォーメーション、パフォーマンスといった動き 躍動感で観(魅)せる。また独唱・斉唱で聴かせ、手作り感のある小物を活用し色々な情景を紡ぎ出す。勿論、音響や照明といった舞台技術を駆使した相乗効果は絶大。これぞエンターテイメント公演だ!
    (上演時間1時間30分 途中休憩なし) 

    ネタバレBOX

    舞台美術は、上手から下手に向かって斜めに上るような台があるだけのシンプルなもの。しかし、物語は登場する人物が手にする又は被り物で状況と場景を作り出す。それを照明と音響・音楽で補い支える。

    公演の面白いところは、ショルダーパッズ で股間を隠しただけの、まさに この身ひとつで演ずるのだが、その表現力が巧みで情感に溢れている。表層(例えばチラシ)だけ観れば、キワモノのようだが、いつの間にか「オズの魔法使」の世界観に浸っているから不思議だ。この感覚は理屈ではなく、人・キャストの<伝えたいという思い>のような熱量ではなかろうか。

    照明と音響が情景を浮かび上がらせ、物語の世界へ巧みに誘う。原作のカンザスの大草原を沖縄の海辺に置き換え、現在地・沖縄とオズ王国で冒険する、その異世界間を往還するような描き方。上手に四角い照明で檻(オリ)を表し、沖縄にいるハブの にーに(橘輝サン)を登場させる。一方 原作オズの世界に準えた不思議な冒険譚、その世界観の違いを交錯させることで、現実と夢幻の違いを表す。
    そこに、今地点と暈けた目標のようなものの対比=劇団鹿殺しの原点と今の通過点を見るようだ。だから チョビさんの挨拶にも意味があるように思えるのだが…。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2023/07/18 17:50

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