ある馬の物語 公演情報 世田谷パブリックシアター「ある馬の物語」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    トルストイの原作をソ連レニングラードの劇場が舞台化したのが1975年(マルク・ロゾフスキー脚色・音楽)。日本では青年座が1978年舞台化し、1983年書籍化(翻訳:桜井郁子)されているので、国内での上演はあっただろう。
    今回の公演は、ロゾフスキー脚色版の新訳(堀江新二)、音楽監督に国広和毅を据えての舞台である。国広氏の名前に食指を動かされて足を運んだ。パンフのコメントでは、元の楽譜で当てていた金管(トランペット)を木管(サックス)4重奏とし、全編を彩った。白井晃演出は舞台中央にビデ足場を組み、機能性を重視して舞台を物語叙述に集約させていたのは好感が持てた。
    馬と人間が登場する。馬の主役ホルストメールが成河、人間側は別所哲也。ホルストメールの運命に深く関わる馬に小西遼生、音月桂、馬丁や馬主ら人間に春海四方、大森博史、小宮孝泰、小柳友。
    馬の存在が面白い。人間を最も理解する(心が繋がれる)動物と言われる馬であるが、擬人化しつつも動物性を帯びさせる。成河が演じるホルストメールは、鼻鳴らし、いななき、ギャロップをし、言葉を話す。人間が話す場面では「人間の目に映る馬」でありつつ、また動物的本能を持つ存在でありつつ、観客は彼が感情と思考を持つ存在である事を知っており、その心の動きを追う。時に彼の心はベールに包まれ、時にあらわれる。この重層性が素晴らしい。

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    2023/07/16 13:09

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