岡場所のようでした
スタッフもキャストも、良い舞台を創ろうという、真摯な姿勢を随所に感じ、大変好感が持てました。
これが、大学の余興芝居とかで、尚且つ、私がまだ若く、近世吉原の知識が皆無な人間だったら、間違いなく、大賛辞を送れる舞台だったと思います。
ですが、残念ながら、この世界になまじやや精通していたため、今回の公演は、心から楽しむことが困難でした。吉原のしきたりとか、衣装とか、考証的に、これはあり得ないと首を捻る部分があまりにも目についてしまいました。
もっと、舞台自体が、デフォルメした表現なら、こんなに違和感を感じなかったと思うのですが、スタッフの、懸命に、当時の吉原の遊郭を再現しようとする工夫が隋所に見えたせいで、逆に、それが裏目に出てしまったように感じました。中尾さんの紡ぎ出す、心の琴線に振れる台詞が幾つかあっただけに、この綻びが残念でなりませんでした。
小劇場レベルで、吉原の遊郭を舞台にするなら、最初からリアルさのある衣装やセットにせず、むしろ裸舞台で、観客の想像に委ねる舞台様式にした方が成功するのではと思います。
のばらと白菊は、どう見ても、高級遊郭の花魁には程遠く、この舞台は、どうしたって、岡場所風情に見えました。
中尾さんの時代劇戯曲の才は素晴らしいと感じ入っているので、次回の更なる成長を楽しみにしています。
2010/06/06 01:12
2010/06/06 00:23
2010/06/06 00:09
ありがとうございます。今度拝見してみようと思います。私のオススメはバッコスの祭です。最近、忠臣蔵、新撰組と時代物が続きましたが、時代劇専門劇団ではなく、歴史ものを独自の大胆な視点で提案していて、次回作はヒロシマと戦意高揚劇団のお話のようで再演ものだそうです。あ、8割世界の鈴木雄太さんも高く評価しておられます。