実演鑑賞
満足度★★★★
面白い、お薦め。
無法地帯ならぬ無常世界のような…訳アリの おっさんたちが住むシェアハウス<双葉荘>での日常を面白可笑しく描いた物語。因みに登場するのは全員おっさんで、色気のあるシーンがあるとすれば映像か。
このシェアハウスに新入りが来た時の感想を 心の中で、「なんて くだらない、何の教訓もない」といったことを呟く。当日パンフに脚本・演出の山下平祐氏が「観劇後、皆様のお胸には何も残らないかもしれません」と。しかし、この手の話はシェアハウスの外、つまり社会(世間)との関係を描くことによって観客の心に何らかの爪痕を残そうとするが、公演では、ハウス内における人間関係だけで綴る。しかも 個々人の背景は深堀せず、今という瞬間だけを切り取り 〈生きている〉 として観せる。背景=訳アリという過去に縛られず生きたいという 思いがあるのかも知れない。
先のパンフには続きがあり「しかしその『何も残らなさ』もまた、男性のみのお芝居の『らしさ』」と。シェアハウスという狭い空間、訳アリの内容はそれぞれ違うが、それでもマウントを取りたがる滑稽さ。そこに愛すべき おっさんの虚勢と哀愁が垣間見え、不思議とジーンとくる。
(上演時間1時間45分 途中休憩なし)