実演鑑賞
A「壁の向こうの友人」B「明日は運動会」を観劇。
実際に起こった事件を題材にし、それぞれある一つの視点から描くことによって事件の本質なり、(大げさに言えば)日本社会の実像が描かれており目を見開かされる。Aは死刑制度の是非について、Bはマスコミ報道の在り方について、それぞれ考えるいいきっかけになったと思う。
ただそれぞれを一篇の物語として捉えた時に、もどかしさだったり釈然としない感情を抱いてしまった。Aでは被害者の兄が犯人に対して(タイトルにあるように)まるで友人に語り掛けるような口調だった。最後の面会で、何回も面会した理由と合わせてその理由にも言及していたがあまりに複雑な感情で理解することができなかった。これについては実際に被害者の兄が書いた手記が出版されているので是非読んでみたい。
Bは加害者の4人の子供たちが久々に集まった(長男が集めた)家族会議の目的が母の冤罪を兄弟全員で動画で投稿しようというもの。この設定自体何かピンとこなかったし、物語の落ち自体が決まっているので、自然と会話の中に興味を引かれそうなことを探すのだが不覚にも途中で眠気が襲ってきて、肝心な長姉の台詞を聞き逃してしまった。無念。いずれにしてもなかなか出会えない社会派(嫌な表現だが)の作品を観劇できたのは貴重な体験だった。