実演鑑賞
満足度★★★★
2019年KAAT公演を見逃し、何故か「絶対良い」確信を引き摺ってKAATでの再々演を当日券で観た。公演は中々であったが、この「絶対」とまで思わせたその舞台を調べても見当たらない具体的には糸井幸之助@木ノ下歌舞伎が「良かった」記憶がそれなのだが糸井演出による木ノ下舞台はこれが初めてなのでどうやらこれは誤り。FUKAIPRO以外での糸井氏の仕事で感銘と言うと一昨年?アゴラでのぐうたららばい公演が良かったが時期的に後。結局判らず終い。
どうでも良い話は置いて・・題名から勝手に想像していた以前木ノ下でやった義経千本桜だったか(弁慶牛若が登場のやつ)の世界とは全く異なる色恋の世界で、なるほど糸井氏がオファーされたのも納得、であった。恋の狂気、荒ぶる情念と破滅を糸井氏流のポップな楽曲と演出で堪能する舞台。
この日は終演後にトークとあったが、三時間どっぷり濃い芝居に漬かった後、木ノ下歌舞伎主宰が登場して「自分がトークをする」と宣言、しかも1時間の予定という。観客の反応を予測したかのように前代未聞の挙と自嘲しつつ、「語りたい事が沢山ある」という主宰の熱意で客の反応も唖然から興味へ。トークの主題は義太夫の歴史からとらえたこの演目という事で終わってみればあっと言う間。ぶっちゃけ矛盾と無理の多い「摂州合邦辻」(主宰の弁)の魅力を捉え直す事ができた。個人的には主役を演じた内田慈の演技を興味深く見たのだが機会があればまた。