龍と虎狼-新撰組 Beginning- 公演情報 FREE(S)「龍と虎狼-新撰組 Beginning-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    坂本龍馬と土方歳三が兄弟という設定、その奇知をもって 何となく史実と結び付けるような展開へ。そして映画・舞台・TV等でイメージ作られた風雲児と冷徹漢という人物像を逆転させたかのような描き。

    見どころは、やはり殺陣シーンであろう。スピードと腰が据わり 刀をしっかり振り下ろす動作に迫力がある。特に複数の剣士の交刃、その間合い(距離感)をしっかり見極めているところが見事。また 沖田総司役を女優の市瀬瑠夏さんが演じているが、なかなか凛々しく 青年剣士を好演していたのが印象的。

    気になったのが2点、まず 近藤勇 役(鈴木つかさ サン)がちょいちょいコメディリリーフとして笑わせるが、個人的にはあまり好まない。新撰組局長として、剣技は堂々としており、その延長線上での人物像でも良かったのでは…。重厚・骨太になり過ぎないため、敢えて笑いを挿入したのだろうか。次に、卑小と思いつつも、同じ武士でも大小二本差し と大刀のみの人物がおり、舞台上で並ぶと不自然なのだが…。
    (上演時間1時間35分)

    ネタバレBOX

    物語としての見どころは、土方歳三という人物像…映画やTVでは冷徹といった印象を持っていたが、そのイメージを一新し組織内を如何に融和するか腐心する。勿論 新選組の体制を整える迄の話、芹沢鴨と近藤勇という二人局長の対立、それぞれのグループの思惑がよく知られている史実へ変転していく。新選組内で土方歳三という人格・人物像が形成されていくまで、その人間性を殺し 冷徹に成らざるを得なかったかを描く。

    何方かと言えば芹沢鴨の未来(展望)観と刹那的な生き方を通して、幕末という混沌とした時代をどう生きるか、その大義のようなものがあるのか。そんな自問自答が殺生悪人としてのイメージが強い彼の別の一面を描く。その意味では、土方歳三や芹沢鴨といったイメージ先行型の人物像を覆し、時代に翻弄された武士の多面性を観(魅)せる。土方の優柔不断の慌てぶり、芹沢の先見性といった新たな魅力、そして敢えて近藤のコメディリリーフ的な役割を挿入し、娯楽時代劇として楽しませる。

    勿論 殺陣シーンは見どころの一つ。しっかりした足の踏み込みがあるから迫力と臨場感が半端ない。単に芹沢暗殺シーンだけではなく、新選組として その技量(剣技)を磨くため稽古シーンも取り入れ、実戦と稽古の緊張感の違いを表す。
    もう一つの見どころは、女優陣…飲み屋の着物姿や隠密的な役割の くノ一としての艶やかさ。武骨さと色香という 違う雰囲気を上手く融合させた世界観が心地良い。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2023/05/28 05:17

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