『あぁ、自殺生活』 ~ ありがとうございました。次回は下北沢楽園にて6/1(金)&6/20(日)に上演致します。 公演情報 劇団夢現舎「『あぁ、自殺生活』 ~ ありがとうございました。次回は下北沢楽園にて6/1(金)&6/20(日)に上演致します。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    【前期】うーん・・・・。
    正直途中で飽きた。
    先の見えない不毛で中途半端な会話が延々続く。
    彼らの紋切り型の応酬は、面白くない。
    紋切り型すぎてコメディでもシュールでもない。
    意外性もなく、ほとんど笑えない(わずかに笑ったところもあったが)。
    メインとなる2人の会話が前にも後ろにも上にも進まず、足踏みをしているよう。

    ネタバレBOX

    会場ではそれなりに笑い声が起こっていたし、ここでの評価も高いので、面白いと思う人もいたのだろうから、「私にとって」は「面白くなかった」が正確な表現かもしれない。
    だけど、「頼道くん」っていう名前だけで笑えないでしょう。そんなに何回も(名前の由来のところでは笑ってしまったけども)。

    周囲に笑い声があるだけに、座っているのが辛かった。ただし、何よりも、どういう結びになるのかだけは興味があった。
    だから、一応ラストまで、と思っていたが、ラストも想像の範囲内であったし、何かを与えてくれるわけでもない。自殺願望男が残されて、電車に向かっていくところで暗転。彼がどうしたかをぼかして終わり。これじゃなあ。

    いっそ、誰も寄せ付けないような完全な不条理劇に徹したものか、(笑えない)コメディであったのなら、どんなによかったことか。
    ゴドーならぬ「自殺を待ちながら」という(基本)2人劇の。

    途中で駅員が出てくるが、あれは、けたたましいホイッスル音で眠気を覚ますだけで、物語に変化を与えない。
    単に、行き詰まった状態を打破する解決策がなかったから、安易に外から新たな登場人物を持ってきたようにしか見えない。もったいない。
    ここで、もう1人面倒なキャラクターとして駅員が現れたのならば、面白い展開になったかもしれない。
    足踏み状態が少しは開けたのかもしれないし。

    2人の会話はキャラクターが一定しているようで、焦点が定まらず、特に自殺志願の男は本当に死にたいと思っているのかどうかさえもあやふやだ。
    本当に死にたいと思っていないことが、会話で炙り出されるのならば意味はあるのだが、そうでもない。
    第一、なぜ彼は自殺を止めた男の話に耳を傾けて、さらに、そこに居続けるのかがわからない。
    立ち去ろうとしない理由と留まる理由が希薄すぎる。

    自殺願望の男と、それを止める男という関係(力関係等々)が、徐々に止めた男の本音が現れてくることで、彼らの関係が気がつくと逆転していく、というようなメビウスの輪のような状況にしたかったのではないかと思うのだが、もしそうであれば、それは成功したとは思えない。
    単に、止めた男も自殺願望があったことがわかるだけ。しかも、彼のそれは、あまり本気ではなさそう。
    つまり、2人の演技がずっと同じだからだ。声のトーンとか動きとか何か方法があったのではないだろうか。
    唐突に「あなたがいないと生きていけない」とか「あなたがいないと自殺できない」と言われてもなあ、だ。

    会話が中途半端な感じがする。もっと徹底して、観ている者を苛つかせたり、挑発するか、もっと不毛な会話で混乱させるかしてほしかった。

    延々続く会話の積み重ねで何かが現れてくると思っていたが、何も現れず、解決らしきものもない。
    解決とは、物語の結論的な意味であり、自殺願望男をどうこうしようではない。
    結局、自殺というものに対する作者の意見のようなものが明確には示されていないように思えた。もちろん、それを観客にゆだねるという姿勢があるわけでもない。

    「自殺力」「自殺道」という、いいキーワードが出てくるのだから、そこをもっと徹底して、(無理矢理でも、こじつけでもいいから)体系立てた上で、登場人物に語らせてほしかった。そこへのアプローチがイマイチ弱いのではなかろうか。
    エピソードだけは多いのだが、少々蘊蓄がすぎる印象。

    結局、お芝居お芝居した口調と、現実では口にしないようなお芝居的な台詞、さらに歩く、止まる、振り返るなどの動作もいちいち手順通りで進めてます、のように徐々に見えてきてしまい。それが鼻についてしまった。
    それを「あえて」そうしているのならば、意味があるのかもしれないが、そうとは思えない。

    今回もスタッフや役者さんたちの客入れや客出し、後のフォローまで劇団の対応は、ホスピタリティが溢れるものだっただけに、こんな感想を書くのは申し訳ないような気もするのだが、合わないものはしょうがない。
    そう「合わない」のだ。そういうことにしよう。

    入場券が切符型でハサミを入れるところまでは(つまり幕開き前までは)、面白かったんだけどなあ。

    0

    2010/05/25 16:35

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大