満足度★★★★★
奇々怪々な情念
奇怪という単語が脳裏をよぎる、およそ予想だにしない視覚空間。
原作と原作者が意図した公演形態を確認していないので確かなことは言えないが、元々読み込み可能性が広い脚本の余白を、異なる可能性の方角に向かって読み込んでいった演出をしているのではないかと思う。それ以上に、余白以外の部分も読み替えているのでは。
しかし涎を垂れ流し奇妙に絡み合い、時に全く抑揚がなく、時に怒号のごとき台詞回しで語られる「ソレ」は、プレッシャーが擬態化したかのように主人公を言外で締め付け、「結果」に至るまでの道程を導きだす。
圧倒されるにはあと一歩何か欲しい印象だったが、記憶には残りそう。
役者も達者という以上の何かを持っている人が多くてよかった。