福子、福ちゃんの夜明けに飛べ 公演情報 enji「福子、福ちゃんの夜明けに飛べ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

     作品は観て頂くとして、当時を生きていた者の1人としてネタバレでは時代背景を主に書いておいた。作品中、自分の最も気に入ったキャラは生物学大好き少女。

    ネタバレBOX

     時代設定は1969年、場所は日本、米軍基地が近くにある安アパート“福ちゃん荘”。住人、マリに吸い寄せられるように出入りする諸々おじさん、新管理人となった地方出身大学生、一応、マッポにマークされている医学部の学生活動家、近所のおばさんたち、在日米軍軍医中佐、警官等々が登場する、色々な意味で沸騰していた時代を描いた作品。
     日本の大学生の多くが海外を流離い、どんどん世界から日本を見るようになっていた時代でもあり、ヒッピーやアングラ、ベトナム反戦運動、公害問題や学生運動の盛り上がりもあり東大の入試が行われなかった年でもあった。新宿にはフォークゲリラや休日ヒッピー等が至る所に見受けられLSDやマリファナ、サイケデリックな紋様を体中に化粧した若者も多く見られた。大江健三郎の「見るまえに跳べ」初版本出版から11年後、小田実「何でも見てやろう」初版から8年だった。フランスヌーベルバーグの影響を受けたATG作品の傑作も多々上映されていたし、天井桟敷の寺山修司、赤テントの唐十郎、黒テントの佐藤信らアングラ演劇も大変な人気を博していた。文化的にも新たな地平へ旅立つ気風が横溢していた時代であった。
     今作では、ドクターと呼ばれる学生運動の活動家がチャラいキャラとして描かれているし、社会経験を積んでいない若者が既成の価値観と対峙するに当たってその体験不足を補完する為に理論に走るのは必然ではある。この若者の必然的な事情には頓着せず、実際に今作で描かれる形は、軽薄なプロパガンダの域を出ていない連中が居たにせよ、こんなにレベルの低い連中ばかりだった訳では無論ない。貧困を抱える地域や被差別民にキチンと寄り添い活動していた活動家も居たし、公害被害者の側に立って地道な支援を継続していた者たちも居た。また公安の行動・言動を予め予測しシナリオに書き上げた上でシナリオに書かれた行動を態と目につく形で実践、公安の出方が元々書かれたシナリオ通りだったことを発表して揶揄し頭脳戦で戦った者も居た。
     中佐が米兵たちの抱えていたアンビヴァレンツを吐露するシーンは、確かに説得力がある。然しベトナム戦争で最終的に米兵の死者数は戦死・その他の死を含め58220名。それに対してベトナム人死者数は正確な数が分からない程国土も荒らされ民衆も虐殺されて実数は確定できていないが約300万人。ソンミ村虐殺事件も表に出た有名な事件というだけの話で他にも多くあったと想像されるというのが、当時多くの人々が感じていたことでもあろう。70年代初頭に明らかにされたトンキン湾事件の真相をみればアメリカが如何に汚い手を使ってベトナム戦争拡大を図ったかは明白である。また、今作でも言及されているダイオキシン汚染は、未だに悪影響が続いている。
     付言しておくなら、公安は、スパイを大学に送り込んだり、未成年活動家に何人もの監視を付けて追い回したりを散々やっていたし、少なくとも米べったりの日本保守勢力が当時統一教会、国際勝共連合と歩調を合わせ組織的に左翼弾圧に走ることには目を瞑っていたことも疑われる。

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    2023/04/29 11:40

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  • ながいちゃ~んさんへ
    ハンダラです。コメント有難うございます。
    日本政治のみならず、日本の劣化はとどまる
    ことをしりませんね、例えば岸田襲撃事件でも
    有効な方法は、フィンランドの現行政治形態を紹介
    してやれば犯人はかなり心を開くように思いますが、
    このような発想を予め欠いている点に自ら気付くことの
    ない自主性の無い、奴隷思考の連中には無理な話。犯人は
    このような状況に絶望して犯行に及んだのでしょう。
    今後ともよろしく。

    2023/05/01 11:39

    ご来場ありがとうございました!

    2023/05/01 04:58

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