GYPSY 公演情報 TBS/サンライズプロモーション東京「GYPSY」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    素直に楽しめるよい舞台でした。大竹しのぶ演じる、図々しくてバイタリティーあふれるステージママ・ローズ、ママへの愛憎半ばする娘たち(生田絵梨花、熊谷彩春)、ローズに惹かれてマネージャーとして支えるハービー(今井清隆)の芸能一家。日本で言えば、ドサ回りの大衆演劇の一家ということになろうか。脇役の子たちも最初は男の子4人、あとでは女の子4人が旅をともにする。アメリカ獣を旅するロードムービーでもある。

    楽曲がメロディアスでわかりやすい。そして一曲一曲のテーマが鮮明でメリハリが付いている。ローズが平凡な生活には我慢できないと歌う「サム・ピープル」、出会った二人の似た者同士を歌う「不思議な出会い」、喧嘩しても心では結び合ってる「二人は離れない」、姉妹の母の呪縛からの解放を願う「ママが結婚したら」、ベテランストリッパーがステージの秘訣を歌う「大事なのはギミック」など。ただ「ウエスト・サイド物語」のようにマンボやストリートやラブソングと多様なわけではない。基本はバラードだけれど、変化が少ない分、安心して聞いてられる。

    今井清隆のバリトンの魅力は聞き惚れた。生田絵梨花は、最後、シックなドレスに着替えると、見違えるように華やかでスターになったことが実感できる。そして、大女優の大竹しのぶはこの役にぴったし。一幕の終わり、全てを捧げてきた妹娘ジューンが駆け落ちし、他のみんながもう終わりだというのに、ひとり「まだ終わりじゃない。これが始まりよ」とうたう不屈ぶりが見事だった。

    そしてラストの曲「ローズの出番」。この曲だけは、曲もソンドハイムが書いたと宮本亜門がプログラムで語っている。たしかに、この曲だけ超複雑。「太平洋序曲」のソンドハイムらしい、凝った楽曲で、異彩を放つ。姉娘のルイーズに邪険にされても、なお今度こそ自分の出番と歌うことで、3人3様の女のバイタリティー、生き様が最後まで貫かれる。

    冒頭のルイーズとジューンの子供時代を演じた子役(チームブルー:酒井希愛、三浦あかり)もかわいかった。2時間50分(休憩20分込)

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    2023/04/15 23:42

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