歌うシャイロック 公演情報 松竹「歌うシャイロック」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    こてこての関西弁版「ベニスの商人」。少々騒々しいが、笑いが絶えず、喜怒哀楽が誇張されて面白い。アントーニオ(渡部豪太)がシャイロック(岸谷五朗)から借金した顛末、シャイロックの娘ジェシカ(中村ゆり)と、どもりのロレンゾー(和田正人)の駆け落ちの顛末、ポーシャの結婚の行方という3つの筋が、互いに絡みながら、重層的な芝居をつくりあげる。そのなかで、シャイロックとジェシカの父娘の絆がクローズアップされ、感動的なエンディングへつながっていく。

    ロレンゾーの和田正人の弱気な青年から、傲慢で横柄な人物への変貌、さらに卑屈な使用人になり、ジェシカを追い出した自責の念に苦しむにいたるまでの幅の広い演技は特筆ものだった。マギーも七変化で大活躍。とくにモロッコ大公の繰り返しの「うほっほ」ぶりと、おにぎりがネズミの穴に落ちていく顛末を語る一人コントは笑わせられた。女中頭役の福井晶一の助走もなかなか良かった。
    前半80分休憩20分後半115分 計3時間35分

    ネタバレBOX

    一番の見せ場は、やはりあの法廷場面。「肉はとっても、血を言ってきでも流してはいかん」というポーシャが変装した博士の裁きに、シャイロックが憤懣を爆発させる。ナイフ片手に大立ち回りを演じ、舞台が上を下にの大混乱になる。見物人も含めた演者全員の動きが有機的にマッチして、ハラハラさせられるダイナミックなシークエンス(一定の長さのあるシーンのひとつながりの連続)だった。

    シャイロックがリヤカーに、気のふれたジェシカを載せて、降りしきる雪の中を確かな足取りで進んでいくラストは、「焼肉ドラゴン」や「屋根の上のバイオリン弾き」をほうふつさせた。(周りには同じエルサレムを目指す難民たちがおり、バックの砲撃、空襲の音がウクライナの戦争難民をだぶらせる)

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    2023/03/25 23:41

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