実演鑑賞
満足度★★★★
瀬戸山氏の青年劇場書き下しは今作も十代女子が主人公。新鮮な風を感じる感性に導かれてちょっとした旅(だが真の意味での「旅」)をする。AIロボット(少女型)との二人旅の舞台はAIが人間の生活や産業の各所に導入された近未来社会、とは言ってもAIがもたらしかねない資本と雇用人口の熾烈な分断、といった深刻な状況よりは、自我(状況を判断し自己の行動を決定する土台)が芽生え、人間に近い感情を持ち始めているAIというファンタジックな想定。非人間性が社会を侵食するディストピアとは対照的な、異種の人格が人間界に参入する「多様性」の未来への想像力に観客は感化され、感動が湧き起こるのだろう。