実演鑑賞
満足度★★★★★
面白い、お薦め。
或る事情によって山奥の里に移り住んだ父娘と 2人に関わる人々の歪な思惑を描いたサイコ スリラーといった物語。公演の魅力は、俳優陣の圧倒的な演技力、その迫力と緊迫感ある雰囲気が観る人の関心を惹き付けて離さない。その雰囲気を醸し出す舞台美術、そして光と音の芸術とも言える舞台技術が怪しく不穏な雰囲気を倍加して表す。
山奥の一軒家ということから、ある意味 密室劇のようでもあり、逃げ場のない切迫感が犇々と伝わる。その得体のしれない恐怖と二転三転する展開に目が離せない。登場する人物の表情や態度が段々と変化し、皆怪しく誰を信じればよいのか。一方、己自身も本心と建前のような二面性ー意識してなのか無意識なのか曖昧な観せ方が益々謎を深める。人々の心の奥底、その虚々実々が漂流しどこに漂着するのか分からないといった人間心理と物語性、その二重の謎を秘めた作品。根底にあるのが人の愛<情>と欲望、それだけに哀切が…。
(上演時間2時間10分 途中休憩なし)