ムネリンピック 公演情報 神保町花月「ムネリンピック」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    やりたい放題! そしてグダグタ、グダグダ・・・。
    メタなのか? そうなのか?
    っていうより、やりたい放題。

    でも2時間近いのに飽きなかった。
    お客さんが笑いに来ているということもあって、笑いは終始起きていた。

    私も確かに笑った。

    ネタバレBOX

    ヨーロッパ企画の永野宗典さん演じる会長が、「ムネリンピック」なるグタグタな競技会を主催している。
    それは、突然始まり、突然巻き込まれるものだ。

    「虚」の旗印とともに。
    舞台の横に「虚」の文字が置いてある。
    「虚構」の「虚」であり、「虚しい」の「虚」でもある。
    これがまさにテーマだった。

    「ムネリンピック」とは、例えば、「しゃくれんぼう」は、ガストで突然始まる。隠れている会長を捜すという一見かくれんぼうに似た競技なのだが、見つけるのはアゴがしゃくれているときの会長でなければならないというもので、単に会長のさじ加減ひとつで勝敗が決まるというものだ。
    または、勝手に人の家に上がり込み、冷蔵庫の残り物で料理を作るというものもある。一体何を作るのか? というクイズなのだが、結果は途中で飽きて何も作らない、だったりする。
    映像なども使われながら、無意味な競技やイベントが次々に繰り広げられる。

    そんなグダグタで内容のないイベントに巻き込まれた人は、なぜか怒ることもしない。そのイベントを偶然見かけた記者が、ムネリンピックに関係した人を集め、取材をするのだ。

    ところが、そこで急に大地震が起こり、さらになぜか会長が首を吊るという展開になり、その上、これは、神保町花月で行われている演劇であると、会長は告げる。
    「演劇は死んだ!」と。

    ムネリンピックを続けながら、敗者の役としてのプロフイールを消していくことで、役と演じている者の境が曖昧になっていく。
    さらに、この舞台(ムネリンピック)の打ち合わせのときに取材した個人的な内容を、舞台で暴露することで、役者たちを芸人でも役でもない個人に戻し、さらにその自分を自分で演じさせようと強いる。

    たぶん、このあらすじを読んでいて何のことかわからないと思う。
    そんな、どこに行くのかまったくわからず、意味不明で、めちゃめちゃな展開が、テレビのバラエティのような姿をしつつ(出演者の秘密をばらす的な)、メタな空気を漂わせながら、とにかくグダグダと進んでいくのだ。

    地震とか、ムネリンピックとかが「虚」に変わり、役者たちも「虚」になっていく。
    「一番演劇にとらわれているのは、永野さんだ」という台詞で自分自身も切っていき、脚本を舞台の上で書き換えることで、自分自身の「虚」をさらけ出す。

    とはいえ、これは、単に、永野さんがやりたかったことを(ヨーロッパ企画ではやれないことを)、吉本というバックを手にして、やりたい放題やってみました、という内容だろう。
    それなりにウケていて、客席も一杯だったから気持ちが良かったのではないか、とも思う。

    カリカなどの芸人さんたちがいるから成り立っていたとも言える。そうじゃないと、持たない場面もあったと思うし、たとえ、脚本どおりの展開としても、芸人さんたちのアドリブ的とも言える、空気の読み方とタイミングでかろうじて成立していたと思えるような危うさもあった。

    それでいいのだろう。
    それは初めから織り込み済みの脚本であり、演出なのだろう。
    役者じゃ持たなかったかもしれない。

    なんだか、いちおう芝居のラスト的なものは付けてあるが、それにはあまり意味がないように思えた。形だけというか。
    これだけグダクダならば、ラストも収集がつかないほど散らかしたままで終えてもよかったように思える。

    ヨーロッパ企画は、何本も映画になったり、去年はジャニーズともコラボして、今回は吉本とである。じんわりとブレイクしているんだろうなぁ。勢いあるから、こんなのもアリなんだろう思う。

    あ、グダグタと何回も書いたが、これは「イイ意味」でのグダグタであったことを付け加えておきたい。

    ただ、誰にでもお勧めとは言えない。笑えるけど。

    そして、どうでもいいことだが、この会場ではお客さん全員にオロナミンCの自販機用のコインが配られていて、帰りにみんな飲んでいた。私は好きじゃないので、飲まなかったけど。

    0

    2010/05/02 08:54

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大