Laghu prarthana 公演情報 中央大学第二演劇研究会「Laghu prarthana」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    2022年度卒業公演ということもあり、多くのキャストが登場する。勿論 出番の多い少ないといった違いはあるが、それでも物語の舞台が中国と日本、宗教団体と警察組織、そして現在と過去を交差させ、さらに夢現のような情景まで現れると筋が分かり難く、頭の中で人物相関の整理が忙しかった。何しろ場所と時間を縦横無尽に動かすのだから。

    公演の魅力は、スピード感ある展開とキャストの熱量でグイグイと引っ張っていく、そのテンポの良さ。多少の分かり難さ、辻褄が合っているのか疑問があっても、何となく分かった気にさせる。逆にスピードと熱量ゆえか、滑舌の甘さと早口のため台詞が聞き取れない場面がいくつかあった。

    舞台美術は手作り感いっぱいで、何となく仄々とし温かさを感じる。構造的には中央に階段を設え その上り下りによって躍動感が生まれ、エネルギッシュな演技を観せる。オフホワイトの明るい舞台であるから、全体の隅々まで観ることが出来る。自分が観た回は、舞台<舞台袖 下手>の一部が剥離するというアクシデントがあったが、何とか途中休憩まで持ちこたえた。
    (上演時間2時間30分 途中休憩15分)

    ネタバレBOX

    舞台美術は架空の神殿のような。中央に幅広の階段、上手 下手の上部は非対称だが、夫々 別空間<場所>を設える。上手下部は回転壁、下手は箱型発泡スチロールで石垣を表しているよう。そして休憩直前にこの場所が突き破られ、アッと驚くような仕掛けが…。神殿両脇に隠し階段があり、そこからの登場が場所と時間の変化を表す。

    中国西部のとある国。そこでは国を挙げて1つの宗教が信仰されていた。教祖は寿命を終えるごとに輪廻転生を繰り返し 人々を理想郷(シャンバラ)へと導くとされていたが、新たな転生者は現れなかった。教団は、その内<世界>から外の世界へ行くことが許されていない。信者の1人が病に罹り、その家族(娘)が外の治療を受けさせたいと思うが…。一方、現代の日本…出所不明の銃が使用された事件の捜査が難航。女新人刑事は署内で煙たがられている先輩刑事と事件を調べていくことになる。先輩刑事は15年前の ある事件の資料を女刑事に渡す。ある宗教団体が起こしたという事件は今回捜査している事件と類似点が多いようだ。

    捜査は囮・潜入捜査、さらに捜査打ち切り、再捜査など 離合集散を繰り返すような展開で目まぐるしい。それによって人物が入れ代わり立ち代わり登場する。主要な人物だけを追えば、何となく粗筋は解るが、折角の脚本が勿体ない。
    この宗教団体は、何となくオウム真理教を連想し一連の事件を思い出す。単に虚実綯交ぜの劇作にするのではなく、輪廻転生や彼岸・此岸の狭間、現在・過去の往還など複雑だが、面白く展開させようとする志向や工夫が好ましい。それを上手く整理し、場面ごとのメリハリがもう少し出来れば…。

    物語に直接関係しているのか分からないが、ライヴショーとして歌う場面がある。歌やアクションなど色々と観(魅)せるシーンを挿入する。その意味ではエンターテイメント性も盛り込んでいるのか。
    舞台技術ーー揺れ流れるような照明、そこに妖しげな雰囲気が漂う。また音響は水滴が落ちる音、それをピアノの単音で表現<孤独と淋しさ>するなど工夫が感じられる。
    次回公演も楽しみにしております

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    2023/03/13 11:56

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