実演鑑賞
満足度★★★★★
#とみやまあゆみ #堤千穂
#小崎愛美理 #高橋恭子
#田中千佳子 #中村貴子
#米内山陽子 #川田希
#木下愛華 #未浜杏梨
#佐瀬弘幸(敬称略)
#高木登 さんが届けてくれた素晴らしい作品。何一つとして無駄のない最高の演劇体験があった。そして、大好きな とみやまあゆみさんの素晴らしさを存分に味わえる作品を届けてくれて感謝。
彼女の抑制された声と表情から、内にある激情が滲む。能面が顔の形を変えずとも見せる角度で感情を表現するのと同じように、固めた表情の角度や瞳に心を映す。振り向く動きに合わせた音響にもワクワク。早々のアソコで頬に光る流れには射抜かれた。それが鼻先や顎の下に小さな膨らみを作るのを見ながら、大切な人への愛と、汚れた者への憐みや憤りを傍受し痺れた。
中村貴子さんとのシーンでのみ彼女の穏やかで柔らかな表情を見ることができる。ふわっとした空気に包まれる。それなのに……酸素が薄くなっていくような息苦しさが生まれる。人を信じること信じられることの、何と神聖で罪深いことか。中村貴子さんの佇まいが本作の肝であり、その塩梅の見事さに拍手。
そこはまるで脚本家の虎の穴。蹴落とされて、這い上がっていかなければリングに立てない。リングに上がってもマスクを被らされ、誰かの仮面で戦うことを強いられる。
世の理不尽さを豪快にデフォルメしていても、そんなこともあるかもしれないと思わせてくれる筋の通った筋の通らない話。不快で不愉快な様が遠心力を増して迫ってくる。
今作も、ろくでなしばかり。そして、高木作品の真骨頂とも言える「逃れられない血の問題」が流れ出す。その悍ましさに満ちた話なのに、終演後に清々しく席を立てるのは、虐げられた者たちの手に勝利の盃が握られているからに違いない。
今回、メンバー全員が出演しているチタキヨの融合ぶりが素晴らしかった。前述の中村さん然り、バランサーに徹した千佳子さん、可愛らしさの奥底に隠した芯を強固に宿した恭子さん、皆さん見事だった。そして米内山さんのパンチ力は圧巻。米内山さんと堤さんの喉の強さにも驚愕。
鵺的の正式メンバーになった美しき三人の俳優の競演に心躍った。
常連の川田さんと若い二人も流石の実力。その中で悪臭を撒き散らし大立ち回りを繰り広げる佐瀬さんも見事。このキャスティングに拍手。
寺十吾さんの、あの暗い照明と美術プランが最高にフィットした作品。
ホンモノの演劇を満喫した。幸福な110分。
嗚呼、演劇って素晴らしい。