満足度★★★★
悪夢に魅せられて。
眠りのなかで覚醒した主人公が不可思議な数々に出会い『わからないけれど知っているような気がする』事柄を、おぼろげな記憶を頼りに紐解くお話。
バランスを崩した現実感とシャッフルされた時間軸、ワタシの夢の中へワタシが翻弄されていく筋書きは、ありがちではあるものの、SF好きにはたまらない内容。
核心に近づくたびにすれ違う様子を、前触れもなく擬物表現をはじめるところや、ひとつの単語を多面的な使い方をするところ、独特のセリフの間などを用いて表現されており、また、声の響きや風の匂いなど目に見えないものを色で取り囲む情景が、ノスタルジックで素敵でした。