実演鑑賞
満足度★★★
『おそ松くん』の亜種みたいな喜劇。増築を繰り返したせいで迷路のように入り組んだ家。茶の間の押し入れの隠し通路を通らないと台所にまで辿り着けない。父が危篤で六人兄弟が久方振りに揃う。長男だけが書道家の父の跡を継いで実家暮らし。
上の四兄弟は四つ子、五男は存在感がなく誰も思い出さない。六男は養子で四人の兄にとっては可愛くて仕方ないマスコット的存在。
次男の内縁の妻、四男の内縁の妻、五男の彼女も連れて来られる。
奇妙な味わいの作風、謎ルールに縛られた家。全員妙にキャラが立っている。早逝した母親への愛慕。
家族が他人になっていく瞬間、他人が家族になっていく瞬間、言語化出来ない人と人との感覚。空間と時間の共有、優しさの共有。手触りで相手の存在を確かめ合い心を許し合う。階段の隅で誰にも気付かれずずっとそこに居た、ラストの五男の涙が美しい。
キーワードは「おひおひ」「オロロンロン」。